舞城王太郎の短編集「NECK」を読んだ

NECK (講談社文庫)NECK (講談社文庫)
舞城 王太郎

講談社
売り上げランキング : 233398

Amazonで詳しく見る

積読になってた舞城王太郎「NECK」を読み終わった。
以前読んだ時に一話目でなぜか挫折して、そのままになってたんだけれども読み始めると意外と一気に読み終わってしまう。
これでキミトピアが読める...。


四編の短編が入ってて全て「首」と不可思議な存在についてのお話で統一。
1.a storyでは、主人公の粟寺百花の首の骨が一つ多くて、そこが何かしらの「道」になっててそこが通路になってる。で、色んな者がそこから出てくるお話。
2.the originalでは三人の草野球チームの選手が、チームメイトをボコったチンピラへの復讐として山の中に首だけ出して埋めたらなぜか自分ら三人が同じように三角形の形で首だけ出した状態で埋められ、そこへ謎の女が出て来て推し割れると言う恐怖譚。
3.the secondでは、山の中で子供らに襲われ、埋められたり追いかけ回されたりするこれも恐怖譚。
4.the thirdは、映画「NECK」の元になったお話。オバケ発生装置通称“ネックマシーン”を使ってオバケを出そうって言う話。

1は小説。2はコンテと脚本、3は台本、4も脚本。
the storyにある「道」って漢字に首が入ってるって言う言及にあるように頭、つまり脳が意識を発生させそれが首という道を伝って身体へと流れて行く。逆に言えば脳があれば考える事は出来るが、行動は出来ない。
2.the original、3.the secondにある「首だけ出した状態で埋め」られたり、4.the thirdの首だけ出す事の出来る空っぽの箱“ネックマシーン”も、すべて首と身体を切り離した状態に置く事で、登場人物は超常に出会う。
ネックマシーンは「ある種のオバケは、人の想像と恐怖で具現化出来る」事を実証する為の装置だが、つまり身体から切り離された恐怖がそういう“超常的”な何かを産み出す事を示してる。
当時、メディアミックス展開もあって、4をベースに映画と舞台。


舞城のセルフパロディも織り込んであって、1には「名探偵ルンババ12」の作家 愛媛川十三、4には冥王星Oと越前魔太郎も登場する。ルンババ12は、生主ではないですよ。
ルンババ12は多く登場し「煙か土か食い物」「世界は密室でできている」など

煙か土か食い物 (講談社文庫)煙か土か食い物 (講談社文庫)
舞城王太郎

講談社
売り上げランキング : 13558

Amazonで詳しく見る

世界は密室でできている。 (講談社文庫)世界は密室でできている。 (講談社文庫)
舞城王太郎

講談社
売り上げランキング : 9702

Amazonで詳しく見る

冥王星Oは、匿名作家による連作「魔界探偵 冥王星O」シリーズに出て来る。
魔界探偵 冥王星O デッドドールのダブルD (講談社ノベルス)魔界探偵 冥王星O デッドドールのダブルD (講談社ノベルス)
舞城 王太郎,越前 魔太郎

講談社
売り上げランキング : 83771

Amazonで詳しく見る

勿論判らなくても読めるが、判っていると「お、出て来たw」って程度の喜びはある。

1に見られるトンデモ系トリックとか「煙か土か食い物」の初期舞城的なミステリ寄りだった頃を思わせるし、2のトリックも状況を逆手に取って上手く描いてるし、カメラ位置まで指定された絵コンテも効力をきちんと発揮してる。


ネックマシーンによって産み出されるのは恐怖の対象だけではなく、冥王星Oも産み出す。
頭で考えた事が首を通る時に歪められて間違った行動をとるとする1や、4で冥王星Oは人間の過ちを産み出すと詰め寄るところにも人の意思が原因となってこの世界のさまざまな危機や恐怖や危険の原因になっているって事だろう。
当たり前ですけどね。


次は、iTunesでレンタルして映画版でも観ます。