特に理由のない記事が、進撃の巨人を襲う

※特にネタバレとか気にしてません

進撃の巨人がブームになってる。
『進撃の巨人』がブレーク――残酷でも“快進撃”の理由 (1/3)
ネットや各所で進撃の巨人の物語世界について様々な語り手たちによって語られ。アニメの放送も始まり人気を加速させている。
言い出しっぺの中島哲也監督が降板した劇場版についてはまだ闇の中だが、何らかの発表はあるだろう。

テレビアニメが放送中の人気漫画「進撃の巨人」のコミックス10巻分の累計発行部数が、2,000万部を突破したことがわかった。講談社が5日に発表した

http://www.cinematoday.jp/page/N0053631


コミックスは全巻買って読んでるし、アニメ版も観ている。
ウチでも色々と書こうと考察記事なんてものを書いてみたんだが、それにしてもハマらない。だから記事も途中で終わった。
コミック10巻買ってるのは
「うぉー、これからどうなるんだ!」
って言うよりも
「巨人が生物兵器なのは判ったから、巨人の裏にいる組織と教団がどういう関係か出ないかなぁ...」
「んで、エレンのオヤジはどの辺で出てきて実は向こう側って展開??となったら父親もエレンを閉じ込めてるっていう外殻の一つって言う暗喩でOK?」

みたいな興味が先に立って読んで行ってる。
熱量が低い興味本位。


いかにハマって無いかを考える材料として逆に
「こういう理由で面白いからブームなんだ!」
そういう視点の解説が欲しかった。
ハマっている理由が分かればその部分に注目して自分が理解しきれていない面白さが判ると思ったからだ。
そこで冒頭の記事などに目を通してみたが

巨人の圧倒的な強さに加え、作者の独特な感性が『今まで見たことのない世界を見たい』という読者・視聴者の欲求にがっちりとはまった。絶望的ともいえる設定は、1970年代の『漂流教室』(楳図かずお作)などを思い起こさせるが、キャラクター造形は今の若者向け。昔、漫画に親しんだ人から若者まで、幅広い年代層に向けた訴求力を持っている
などと言われても今ひとつピンと来ない。
“『今まで見たことのない世界を見たい』という読者・視聴者の欲求にがっちりとはまった”
スチームパンキッシュな中世世界の事では無く、巨人に追い込まれた人類って言うシチュエーションなんだろうけれども、圧倒的な敵から逃げ込み外敵に押し込まれている圧迫感って過去例も幾つもあるだろうし、「今までに見た事が無い世界感」と言い切れるほど斬新でも無いだろう。
海腹川背的な立体機動の造形とアクションは面白いが、戦闘で人間が追い込まれて
「このままじゃまずい。立体機動で狙おうにも...そうだ!でも勝負は一回きり。やるしかない!」
みたいな少年マンガ王道よろしく知恵と勇気で一発逆転するような展開も少なく「巨人には巨人だ!」とばかりに巨人になって巨人と戦う。
エレンだけが巨人になれる、のかと思いきやあいつも巨人、そいつも巨人、こいつも巨人。
巨人=徹底的に強い畏怖の対象、だったものがエレンの巨人化に始まり、他のキャラの巨人化にいたり「特別な巨人」と「特別でない巨人」に別れ、さらに「特別でない巨人」はガルガンティアのクジライカみたいな「感情移入できない敵なら平然と殺せるが、感情移入できる相手だと殺すのに躊躇し吐き気がする」展開になってきそうな雰囲気。最新の連載は追ってないからよく知らないけれど。

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マンガ「テラフォーマーズ」で、ゴキブリが恐怖の対象なのは残酷であり圧倒的に強く、感情移入の為に数話裂くようなキャラがあっさり死ぬからで、しかし「進撃の巨人」と同じく誰もかれもバグズ手術で強化され、すると今度はゴキブリ側がバグズ手術を始め...とパワーインフレな戦闘は「先にネタバレしてる方が負け」という単純な法則と、理不尽さを優先したキャラ消費ルールに則って死ぬ。バグズ手術における生物の特徴説明は男塾の民明書房刊と同じくその強さに理由が必用であり、それを自然の生物の特色から引用し、そしてその理由が消化されればあとは負ける。
進撃の巨人の場合、人間は圧倒的に弱く、だが立体機動を使えば勝ててしまってる。
食われるのも殺すのもそこに理由は無い。
ただ(変化させられた)雑魚では無い、一定クラス以上の巨人(人間が中に入るタイプの)に関しては立体機動で挑んでも延髄を切り裂けない。
そのため、巨人vs巨人という構図があるわけだが、巨人に対して決定的に勝てないエレンが更に新たな巨人の登場に対して抗戦できないのは明らかなので、エレンが捕縛~敵の真相辺りに話が進んだ、と読んだのですが。


絵柄は上手い訳じゃなく、下手というほどでもないけど、抜きとシリアスの差がつきづらいから「え?ここで笑っていいところなんだよね?」笑いの部分も並列化されてて、それがおかしな空気を醸し出してる。
作中の書き分けが無い、と言う類似は楳図かずおとか伊藤潤二を思い出させる。

残酷と言うが残酷と言うのは、視聴者や読者に感情移入をさせて死なないであろう伏線を張ったキャラクターをあえて非情にしかも唐突に惨殺して見せるような...マミられるような行為を「残酷」と言うのであって、描写が残酷なんて言う作品なら古今東西溢れかえってる。
レッドへリングが特にうまいとも思えないし、出ている材料はそのまま真相へと繋がるんだろう。

原作、アニメとも物語は巨人との戦いにとどまらず、「巨人の正体」へと深まりをみせる。伏線も巧みで、木下さんは「ミステリーやサスペンスの要素もあり、作中で語られていない要素を読者が考察し、ネット上で語り合うことができるのも魅力だ」と話している

単純に「材料を小出しにしている」だけのストーリー展開に“ミステリーやサスペンスの要素”などと言われてしまうと違和感を覚える。
いわゆる今流行の「砂場」というヤツで「視聴者や読者が推測や類推する余裕を与えて楽しませる」「二次創作などでキャラクターが広がる」という手法は最近多いが、進撃の巨人もそういう流れの一つか。謎や明かされていない部分が多いから推測や創造など類推が入り込みやすい。
しかしその真相がある程度明らかになれば今度はそういう謎を取り除いた作品の魅力での勝負になるんだろうし、そこまで楽しいと思えるかどうかよくは判らないんだが、それにしてもどこが面白いのか未だによく判らない。
まぁ、これだけ記事が書けるんだから何かしら面白いんだろうが。
よくは判ってない。

この記事に理由は無い。

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