どうしてロックバンドが売れなくなったんだろう?


マキタスポーツがこれまでにヒットしてきた楽曲の要素を研究。
「売れる要素を一曲にすれば過去にない大ヒット曲になるんじゃないか」
と一曲にしてみた「十年目のプロポーズ」。

サビ(カノン進行)
転調(ドラマティックマイナー)
Aメロ(ラッパー)
Aダッシュメロ(別キャララッパー)
Bメロ(1音下げるクリシェ)
サビ(カノン進行)
ブレイク(「ラララ」等を大合唱)
Cメロ(ドラマティックマイナー)
サビ(カノン進行)
Aメロ(余韻を残しつつ終了)
最近、スチャダラと一緒にやったセルフカバー。
「十年目のプロポーズ」は確かにJ-POPのよさげな部分を継ぎはぎして組み合わせた楽曲で、それっぽい雰囲気と実体験にのっとった歌詞でそこそこスマッシュヒットはしたものの結局大ヒットまでは至らなかった。

売れるモノ、売れたものには共通解があるのかも知れない。
これさえやれば大丈夫。
でもその方程式にハマった曲だからと言ってそれが売れるとは限らない。
売れる/売れないが、そんなにシンプルな法則一つの訳がない。
だからこそ売れない連中も山ほどいる。


ロックンロールは死んだ


今やアイドルと呼ばれるジャンルの歌が全盛を極めている。
いわゆるロックバンドは売れない。
売れない、と言うか新人が出て来ない。
イカ天の後のたま、フライングキッズジッタリンジンやBJC。
その後のTMGEナンバガ、ゆら帝etcetc。

今や後藤がベンジーの真似をして「ジェッタシー」なんてやれば「ダサい!」って言われる始末。
あれは後藤のベンジーフォロワーっぷりが「ダサい」のであって、ベンジーは唯一無二で、ベンジーベンジーをやってる分には問題ない。
TOKYO ROCKSでステイヤングなんて叫べばこれまた「ダサい!」と連呼される。
ロックはいつの間にやらダサいものになってしまった。



何度も何度も書いてるがロックなんて曖昧なもので、ミスチルやサザンだってロックに入る。
Okamoto'sやThe Bawdiesだって同じくロック。
とはいえBawdiesの「1-2-3」も初動売上2.7万枚で、それでも売れてる方。
売れるてのがどの程度なんだか今ひとつピンと来ないが、バンドはそもそも売れない。

ももクロは初動18万枚、AKBの1830mは初動87万ですよ。
どっかのバンドが解散するからって中継すらやらないのに、内輪の選挙を生中継ですよ奥さん。
あ、ミスチルのベストは73万枚です。


どうしてバンドでなければならないのか


まず今やバンドは売れない(元々人気のあったバンドは除いて)。
だからどうしたらバンドが売れるかを考える前にまず
「どうしてバンドが売れなくなったのか?」
そこを考えなきゃ話にならない。
「既存の売れてる音を研究して、やってみる」でも売れない。
「既存の売れてる音を研究して、なかった音をやってみる」でも売れない。
無かったのかな。あるけど知らないだけとか。
知らないならそれは売れないんだ。


それにしてもなぜ「バンド」である必要があるんだろうか。
録音された音が流されるフロアで踊ったり、モニターの向こうで口パクで歌うアイドルにキャーキャー言う。
アナログからデジタルになり、いつでも無劣化の過去の音を今鳴らす事が出来る。

あえてアナログで不安定・未確定要素の強い「楽器」を鳴らすバンドである意味はどこにあるんだろう。
形骸化した形式はどうでもいい。
深く考えずに
「形式的なバンドサウンドへのアンチテーゼ」
になったのは、金爆だろうし、それを語ってしまうとロキノンになってしまう。
それにしてもまずバンドサウンドと言うケミカルを考えなければならない。

楽曲の再現性という意味でロックバンドの演奏と言うものは非常に不安定で、不確定性と音に混ざるノイズは完全にコントロールできず
「今しか鳴らせない今の音」
こそが本質的な部分じゃないだろうか。
だからこそバンドサウンドはライブ向きであって、昨日鳴らした音と今日鳴らす音は違う。
その不安定さを「ライヴ感」と呼び、音源の再現性よりその場所の熱量や一体感と言った感覚的なモノが優先される。
本来ならば忌むべきフィードバックノイズや音のたわみ歪み、本来の楽譜から外れる演奏や歌。
ライブ演奏とは、そういうインプロヴァイゼーション的な、本来の楽曲と楽曲以外の偶発的なノイズとの混ざり合いで構成され、ジョン・ケージ4分33秒で切り取って見せたようなその場所の「空気」や「場」が混ざり合い一つとなって「ライヴ」として存在するからこそバンドでなければ鳴らせないのであって、バンドがケミカルを起こせるか起こせないかは楽曲の中と外にあると言える。
もしケミカルが起こせないなら今すぐCDでもかける方が良い。
口パクで踊ってる方がよほどパフォーマンスとしてはクオリティが高い。


キレイな歌を聴きたいならCDを聴けばいい。
録音してからエンジニアが手を加えて耳障り良くしてある。
口パクで良いならテレビを観ればいい。
モニターの向こうで、本来の楽譜の通り、CDで聴いた通りの音で歌ってくれる。
そしてそこには切り取られる場所は無く、いつでもどこでも同じ音を同じように鳴らし聴かせられる。



「ロック」って「売れる」とニアイコールじゃないのかな。
売れる事を考えるとロックになってないと言うか。
いや、勿論そりゃあ売れる事は考えますよ、でもね。
ギターウルフがロックなのは、あれは
「売れるとか売れないじゃなくてやりたい事をやる」
からロックなんであって、結果的に売れるかも知れないし、売れないかも知れないけどでもだからロックなんだろう。
みんなやってない隙間産業狙い。
それってロックじゃないだろう。
セールス考えて、売れ線研究してロックをやっちゃうとロックと思えない。

確か蒔き絵か何かだったか、師匠が二人の弟子の作品を見て、優劣つけがたいんだけれど一人を褒めて一人を評価しなかった。
評価されなかった弟子が師匠から受けた言葉は
「お前は上手く造ろうとしている」
と言うものだった。
何かを作るという事は当然見る人間の事を意識するしだから
「こうすれば上手く見えるだろう」
そういう雑念が作品に現れていると言われた、と。

随分、抽象的な話ですが、そういう「頭を使って計算している」感じは確かに出るんだろう。
だからアジカンは好きじゃない、昔っから。
そういう雑念と言うか「こうすればウケるんじゃないだろうか」
みたいな漠然とした思考は作品からにじみ出て、いずれ商業ロックだなんだと揶揄される。


いい子ぶって建前な発言だけれどロックってそういう理想論の上に成り立ってるんじゃないかなぁ、と。
ステイヤングなんて実に寒い発言だけど、そういうモラトリアムとか理想論的なロックを突き詰めていってしまうと寒いオヤジにならざるを得ない。
どこかで金目当てとか売れ筋とかそういう話も出ては来るけど、それはまず一回「ロックを体現してから」っすよね。
その後ならハピマンみたいに税金対策で再結成しても良いし、The D.O.T.みたいに趣味の延長線上でやってもいいだろう。


海外ではJake BuggとかThe Stripesとか懐古~新解釈的なミュージシャンが出始めてるけど、日本ではそういう懐古するような音も確定しないままバンド
ブームが収束した。

あえて今の時代に「バンドで音を鳴らす事」という事はどう言う事なんだろうか。
生音でなくても、観客は満足しちゃう。
観客は音なんて聴いてないんだから、歌を聴きに来ているだけであってね。
そんな歌ですら口パクでも許せる観客。
だってアイドルを見に来てるんだから。
バンプのライブなんてキャーキャー凄いですよ。
でも間奏になったら誰も騒がない。
ギターのリフなんてどうでも良い人たち。

アイドルが出す曲が、どんなクオリティのものでも必ず買う。
それは「楽曲」と「歌い手」が切り離されてるから起こる。
ファンは一体何を求めてるのか。
CDに握手券がついてるのも、音源が切り離されたレイヤーでの話。
同じ時に作られた同じ曲が入ったCDを何枚も何枚も購入する。
もし「4分33秒」が入っていても買うし、ウィークリーチャートで1位になるんだろう。
「アイドル」には楽曲以外の付加価値が存在する。
だからこそ「アイドル」であって。


「売れる」ってどーいうことだろうか。
歌詞に共感出来る、感動した、サビがカッコいい。
オシャレ、ルックスが良い、ドラマに出てた、トークが面白い。
「ロック」ってそれとイコールじゃない。
初期衝動で鳴らす六本の狂ったハガネの振動は理解されない事の方が多い。
売れたいのか、ロックをやりたいのか。

どうしてバンドなのか。
どうしてロックなのか。


え?売れつつロックをやりたいのか。
そりゃあ難しい...。
ところでロックって何だ?
どうなったら売れた、って言えるのか。

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