「ももいろクローバーが突く、AKB成功の罠」を語る前に“Z”を付けろよデコ助野郎

ももいろクローバーが突く、AKB成功の罠/東洋経済ONLINE
http://toyokeizai.net/articles/-/14291

読んだ。
ヲタ的嗜好や体感が無く非ヲタな人が、頭脳と知識だけでヲタ・サブカルチャー現象を分析すると大概的外れな部分が散見出来るものだがこれも御多分に漏れず。
タイトルの「ももいろクローバーが」って無印時代の事だろうか、それとも今のZ時代も含むが付けてないだけだろうか。中身から類推すると後者なんだろうがそういう「よく判っていないもの」を引き合いに出している時点で色々と寸法が違うだろう。
“Z”を付けろよデコ助野郎(via.AKIRA
名前を出すなら最低限。
有るのと無いのとで意味合いが違う(解ってないだろうけど)。


総選挙


まず前田敦子篠田麻里子といった創世記からの人気メンバーが次々と抜け始めているのは、安倍なつみ後藤真紀脱退の穴を埋められず窮退したモーニング娘。を髣髴とさせる。勝手な予想をさせていただくと、現在のエースである大島優子さんの引退も近づいているだろう。

AKBが挑戦者だったときは、前田敦子さんなどが長期にエースとして君臨できたが、AKBがエスタブリッシュメントになってしまった今、“普通の女の子が上を目指す”というコンセプトを保つことが難しく、結果的にエースの回転率を高め、ストーリーをAKB内部で再現することが重要になってくる。しかしこれに起因するアイドル回転率の高さ(入れ替えの速さ)は、中心的な横綱の安定性を望む保守的な日本市場の性向との矛盾にぶつかる。

(中略)

今後AKBはタレントの質、曲の質、コンセプトの持続性といったそのすべてで、今後、大きな困難にぶち当たるだろう。おニャン子クラブモーニング娘など歴代人気アイドルグループの人気継続期間と比較しても、そろそろ潮時といった感じではないか。

モーニング娘。とAKBは似て非なる。
それは「総選挙」にあると言っても良い。

AKBやモー娘。は「AKB48」「モー娘。」というアイドルブランドの元にメンバーの交換の効く集合体システムであって、だからこそ交換の効かないももクロの名前を引き合いに出されると非常に違和感を感じる。
しかしその両者が大きく異なるのは「選挙」というものが介在するか否かという部分にある。
卒業だか脱退だか引退だか転向だか知らんが、そういう「システムから抜ける」事に関してはどちらも変わらない。
しかし抜けた穴を「補充する」事に関しては大きく違う。

モー娘。に関しては順番に繰り上がり、初期メンが抜ければ次は次世代がそれを担う。いわゆる縦社会になっていて、つんくがコントロールを握っている。

しかしAKBの総選挙では初期メンであろうが得票が低ければ下がり、研究生であろうが得票が多ければ上がり注目を浴びる。
そしてこれこそが「抜けた穴を塞ぐ」事に繋がっていく。
ストーリーが無いのではなくその
「選挙で名前が呼ばれるまでになった、ボクが一票入れた」
そのぼくたちが育てた、ぼくたちが認めた、という結果が露骨に出る事でファンは更に応援をするし、上位に君臨し、そして脱退していく初期メンの穴を新世代が昇って行くことで新たなストーリー作りになる、って言う事じゃないんだろうか。
ももクロしかアイドルを知らん人間からすると、観ていて「誰これ?」って言うメンバーも多くいて、でもそういうメンバーがこれから少しづつ露出も増え、知名度も上がり、努力を見せる事でその価値を高めていくんだろう。
そしてそういうメンバーも上位になり後進はそれを目指す。
しかしもしAKBが収束していくんだとしたらそれはAKBというシステムの限界なんだと思う。

ジャニーズが上手かったのは「ジャニーズ事務所」と言う巨大な看板から「嵐」「SMAP」「TOKIO」などと定期的にアイドルグループをドロップする事でそのグループの賞味期限に関わらず常に循環し、どれかのアイドルグループに例え飽きたとしても他のグループが存在すると言う循環システムを作り上げたところにある。
いつの、どの世代にもその世代ごとのアイドルがいる。
システムは衰える事無く次世代が現れては旧世代がフェードアウトし、次世代が現れては旧世代がフェードアウトしていく。


育成ゲーム


これは、“すごい勢いで人気が上がっている”という理由だけで市場に参加してきていた多くの、マーケティング用語で言うところの“フォロワー”のAKBへの忠誠心が流動的だからであり、また創生メンバーを支えたハードコア・オタクの皆様が創生メンバーの引退とともに市場を去っていくからである。「あの小さな劇場で誰も客がいなかったときから、俺たちが応援して育ててきたんだ」というハードコアなサポーターも徐々に引退していくので、表面上の顧客数は衰えなくても、その顧客の構成基盤が脆弱になっていく
この辺りはジャニーズのアイドルを想像して頂けると良いのだろうが、コアなファンは
「あの小さな劇場で誰も客がいなかったときから、俺たちが応援して育ててきたんだ」
交換の無い小さなアイドルグループであれば(ももクロのような)このようになるが、
「研究生から総選挙で名前が呼ばれるまでオレが応援してきたんだ」
成長ストーリーに事欠かないAKBでは後者のような心理が実態であって、研究生から始まり総選挙で名前を呼ばれるまでになるハイコンテクストなストーリーはその応援してきたファンの中にだけあって、そのメンバーが卒業していくときにAKBを離れるものもいれば次世代を応援し始める根っからのドルヲタは後を絶たない。そういうドルヲタは「オレが応援し育てる」というアイマスのプロデューサー的な部分に魅力を感じているのだろう。

よく「一人が何票も入れられるなんてシステムがおかしい」と言われるが、あれも何票も入れられるという事はそれだけ「CDを買えば買うほど」自分が力になれるという事であり、それが目に見える。
一人一票だと自分が幾ら入れても芽の出ないものは芽が出ないままで、結果も反映されない。下位になればなるほどその一票は大きいものになるし「自分があんなに入れたからこそだ」という結果も明確に可視化される。
その「ファンの応援が可視化される」事こそが総選挙の本質だろう。
やらせだの調整だの言われるが、実際そんな事をしても不利な点はあっても有利な点は少なく、万が一やらせだの調整だのが発覚したらダメージは大きいし、システム自体が揺らぎかねない。
だからこそドラマが生まれるし、だからこそ面白くなる。


ここから少し飛ばす。
国際展開がどーこー地方がどーこーの話。


AKBからももクロ


AKBが長期にわたって成功し、チャレンジャーではなくエスタブリッシュメントになってしまった瞬間、皮肉なことにそのコアな商品性を失い、顧客は新たな“若きチャレンジャー”である“ももいろクローバーZ”(念のため書いておくと、私がアイドルオタクで詳しいわけでなく、このコラムのためにいろいろ調べた)などに移っていくのである
ももいろクローバーZ”などに流れてくるのだそうだが、残念ながらその層は果たして被るんだろうか。
それまでのAKBの描く「誰しもが想像したであろう学園生活」の共同幻想から敷衍させた秋元康が描く「半径50cm」の甘酸っぱい世界観が中心のAKBに対して、同じアイドルと言えども常に「仮想敵と戦い」「全力で」可愛い部分も可愛くない部分も「清濁併せ飲む」様々なサブカル文脈から引用したテクスチャで出来上がったももクロと、旧来のアイドルをシステム化したAKBは違いすぎる。楽曲の構成、音の分厚さ、ロック的であり、ポップス的であり、オルタナでメタルで。
もし旧来のアイドルとももクロが変わらないのなら、自分がここでこのような記事を書く事も無かったろうし、ペンライトを買う事も無かったろう。
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プログレみたいなジャケットのアルバム出してるももクロを同じ「アイドル」という引き合いに出してもそれはおかしい。
片手落ちじゃないかな、それは。


FOOLS GOLD


AKB48は、打ち出す手段が全て上手くいっている訳じゃあないだろう。
様々な手を打ち探り上手くいけば広げていく。
だからこそ撤退している部分も多いし、そういう切り捨て切り離しが効くのも母体が巨大であり、ストックに事欠かないからであって、逆に言えば「トップでありエース」は本来必要はない。誰かが「看板」になってしまうと、有事の際その穴は大きくなり母体への影響も大きい。
今回総選挙でHKTの指原が一位になった訳だけれども、確かにこれまで涙で飾られてきたストーリーは転換点を迎えたんだろう。総選挙のテレビ中継を選択したり、インフレは確かに頂点に近くストーンローゼスのスパイクアイランド・ライブに近い。
ここからグループは次の展開を迎えるんだろう。
インフレがピークになったとしてもそのまま人気が下がり続けるとは限らない。例えばローゼスと違って、オアシスはネブワース公演で大記録を打ち立てたがその後もUKロック界に君臨し続けた(兄弟内紛は知らん)。

どういう展開になるのかは今年中にも何かしらの動きがあるのかも知れないけれども、外野から遠目で見守らせて頂きたいと思います。


5TH DIMENSIONツアーの映像でも観てどれだけ違うかってのをよく理解してほしいもんです。
まず顔が判らんから「これは誰だ?」ってなるんでしょうが。

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