「今はヲタクの黄金時代」なにそれ?おいしいの?

「今やぼくたちヲタクにとっての黄金時代なのだ」
と言われても何やらピンと来ない。
ヲタクは既にヲタクではない。
ヲタクがヲタクだった時代は確かにあった。
しかし今はヲタクという言葉自体が勢いを失っている。


先ほど民度クラスタの話を書いたがクラスタと言う手軽な寄木があり
「オレってアニメクラスタなんだよ」
クラスタはヲタクよりもカジュアルで、ハードルが低い。
「〇〇が好き」から「〇〇に詳しい」まで全てクラスタだ。
ヲタクは「〇〇に詳しくなければならない」という能力を含む為、ヲタクは
「オレは〇〇ヲタクだ」
と名乗ったところで実際が伴わない事も多い。


かつてはディープなヲタクに対してカジュアルな層は、サブカルと呼ばれた。
ヲタク趣味に片足突っ込みながらファッションとして消費するサブカルは、だから一部ヲタクに目の敵にされたし、ヲタクvsサブカルなんてものもどこかの世界ではあったと聞いている(関西のサブカル圏には無なかった)。
サブカルはサブカルだが結局、不確定なまま。
ディープもライトもカジュアルも、今や全てをクラスタが覆った。

クラスタが主となり、ヲタクの影は薄れた。
誰も深い知識を誇れない。
なぜかと言えばネットがあるからだ。
誰しもググればそれなりに詳しくなれる。
一週間も調べればすっかりヲタクにでもなれる。
知識の価値の変化がクラスタの増大とヲタクの劣化を招いた。
何かに詳しいなんて何の自慢にもならない。
「今やぼくたちヲタクにとっての黄金時代なのだ」
いや、違う。
今やヲタクは死につつあるのかも知れない。
かつてヲタクは深い知識を自分の研鑽と研究と調査で手に入れた。
経験と蓄積。
それがヲタクをヲタくたらしめる。

今、誰しもが深い知識を手軽に得、作画のこだわりや演出の暗喩や作品に込められたメッセージの読解を無料で調べる事が出来る。
そんな世界で知識しかよるすべが無い純粋種のヲタクが何を誇れるだろう。
ヲタクとそうでない人の差がどれだけあると言うのか。
だからこそカジュアルなクラスタが全盛なんだろう。


ぼくたちぼくたちと言う人よ。
そんなぼくたちの中にオレを入れないでくれないか。
その中にオレはいない。

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