漫画の実写化と言うのは難しい。
小説なんかを原作にする場合は確定的なキャラクター像が無い。
だから外観が読者のイメージと違っても演技力で説得力を持たせる事ができる。
漫画の場合、外観が決まっているために誰かが演じても必ず何かが違う。
キャラクターはキャラクター。
似せれば似せるほどコスプレになる。
コスプレとは元々そう言うモノなのだし。
どの程度フィクションに寄せるか、ノンフィクションに寄せるか。
そのバランス感覚が難しいと思う。
フィクション過ぎればバカバカしいし、ノンフィクション過ぎれば原作が壊れる。
壊すつもりで最初からやるなら問題ないが。
例えば「クローズZERO」は原作の前日譚に位置させることでキャラクターをオリジナルにし、リンダマンだけ出す事で原作と地続きにしてみせた。
だからあれは、似てる似てないがあまり問題にならない。
左之助だけがコスコスプレプレしてしまうのは仕方ない。
録画してあった「るろうに剣心」をようやく観終わった。
佐藤健の剣心は、演技力云々ではなく、アクションの説得力で観客を納得させる。
いわゆる地に足がついたチャンバラの殺陣と言うよりも、ワイヤーアクションを使ってカンフー映画やアクション映画のそれで、カメラワークも同じ。
不安定で短いカットを繋ぐことでスピード感を出してる。
刀は重いので両足を地につけて、腰を落として剣を振るうのが殺陣で、軽い刀をペラペラ振り回して跳び回るのはだから現実的じゃない。
跳んじゃうのは、見栄えは良いとしても実際的には厳しい話で(空中だと姿勢がぶれるし、力が入らない)、ただ剣だけでなく身体全体を使っての剣術に、走り回って跳び回って、蹴り殴り刀の持ち変え、小太刀を使ったりトリッキーな動きはかなり面白い。
これ怪我しまくっただろうなぁ...。
漫画だったらおざなりダンジョンのモカなんかがこーいうアクションをやってた。
数シーンしか出てない江口洋介の殺陣の下手さが際立つ。
...跳んだ時には「スーパージャイアンツ」を思い出しましたよ(ウツイズム)。
香川照之のエキサイトマッチの時とは違う悪役っぷりも今や半沢直樹でおなじみになったが、それにしてもコッテリしてる。
ストーリーは特に書くほどの事もなく、ただ佐藤健のアクションを楽しむ映画に仕上がってる。
須藤元気と左之助の格闘シーンは、がっつりやっても面白かったと思うんだが。
1vs複数だとキレがあるカメラワークも1vs1で同じカメラワークだと非常に忙しいし、一つ一つの印象が散る。
もったいない。
今度続編もあるんだそうで(しかも二作)、どの程度フィクションに落としてどの程度ノンフィクションに落とすのか。
その辺のバランス感覚を期待してる。
![]() | るろうに剣心 通常版 [DVD] 佐藤健,大友啓史 アミューズソフトエンタテインメント 売り上げランキング : 1725 Amazonで詳しく見る |