お笑いを解説してみるよ(お庫出し)

週末は更新を休む(つもり)なので下書きのものをお庫出ししときます。
以前に書いた記事からバカリズムとチュートリアルのネタをカットしてたんですがその部分だけ独立させて一記事に。
ヒマな時にでも観てみてください。

バカリズムの技巧


バカリズム - YouTube
ほんとはバカリズムがニュースキャスター(だけど中身は厨二)のネタが良かったんですが、削除されてるんで代わりに。
そんなに面白くないんですが、このネタを。
お父さんが息子に説教をしている。
勉強してるときぐらいテレビは消しなさい。この辺りは条理(普通)。
「そういうのをな、「ながら」勉強って言うんだよ」
この「ながら」を強調し、次の「“やったね”合格」は意味としては合っているが語法としては合っていない。
本来は合わせない語を使っていき語の関係性がズレる。
この言葉のズレの不条理の振幅を笑うネタ。
変な言い回しの面白さ、って言う意味ではモンティパイソンの「バカ歩き省」みたいな雰囲気もある。

一方向に、延々ズレて行くだけではなく時折普通の言い回しも混ぜるところに巧妙な技術が見える。
途中で「もたいまさこ」「加齢臭父さん..誰が加齢臭父さんなんだよ!」という一人乗りツッコミが転換点。
ズレはどんどん大きくなるが、加齢臭を挟み徐々に収束していき、後半は「ズレ+語」だったのにいつの間にかズレだけで構成され、ズレが語を浸食し、しかしズレは正常化してイントネーションだけが残る。
バカリズムの細かい技術が面白い。
ただ観客は笑い過ぎてウザイ。


徳井の狂気~ちりんちりん~


チュートリアル 「チリンチリン」 - YouTube
ズレ漫才。
自転車のチリンチリンを中心に、価値観が全く違う。
徳井はドラマ仕立てで妄想の世界。
ただM-1の時の「行きずりで女も抱いたよ」が無いバージョンなのが残念。
締めの辺りがちょっとグダるので、このあとブラッシュアップしてM-1に挑んだって言う事か。
このバージョンとM-1との大きな差は徳井が「白い光を見た」とあっち系の話をしてしまうところ。
ところがこのネタの場合、それが無い方が面白い。

徳井はちりんちりんに対して異常な価値観を持ってる。
それは不条理。
ところが「白い光を見た」と言ってしまう事によって、徳井がおかしいことに理由が付いてしまう。
不条理が条理...つまり観客が「あぁ、そういう事なのか」と納得してしまう。
こういう価値観のズレは意味が解らない...なぜこんな価値観になってるか判らない不条理をどんどん重ねる方が面白いので、一度「白い光を見た」を出してしまうとそれ以降も全て起因が「白い光を見た」に収束してしまい、以降が不条理に振り切れない。
「オレがお前のちりんちりんになる!」と言う部分で白い光の話がなければ前段から後段まで「徳井の異常なこだわり」は理由のないまま突き進む。
チュートリアルのネタは、冷蔵庫もバーベキューの串にさす順番もそうだが、そういう「不条理な価値観の徳井と条理な福田」の掛け合いで成立するので、そこに共通言語としてのモノ~二つのパラダイムの接点~は一つで良い。



鳥居みゆき辺りもやろうかと思ったんだけど、鳥居は意外とベタだしネタがしっかりしているので解説しても面白く無かったりする。
白紙の紙(スケッチブック)で紙芝居やるネタも、もしスケッチブックを持っていなければただの昔話をしているだけ。ところがスケッチブックをめくりながら話す事で何も書かれていない紙芝居を見せているように見える。
あえてページをめくりすぎる、と言う技巧も上手い。
最後に「(スケッチブック)手持無沙汰で持っただけ」とぶっちゃける。

狂気っぽく見せているがかなり自覚的で計算されているし、カッチリしたネタ。
http://youtu.be/8AIMeX_0HcQ
この「妄想葬儀」のネタを見ると「ヒットエンドラ~ン♪」に似た口上もある。
これを発展させたのかも知れない。

バカリズム ライブ「宇宙時代」特大号 [DVD]