“関西人の薄味アピールがウザい”のは判ったがそれは正しいか?

soba
soba / xmatt

夕べの日テレ「月曜から夜ふかし」で“関西人の薄味アピールがウザい”と言うネタをやってた。
確かに“関西=薄味”“濃い味=味覚バカ”って言う印象はあるんだろう。

観る前から「醤油の塩分濃度とかなんだろうなー」と思ってら案の定そこへ持って行って、京都人に関東風の濃い口しょうゆを使ったそばを食べさせて
京都人 「いやー、色濃いし辛いわ」
スタッフ「醤油の塩分濃度は濃い口しょうゆの方が薄いんですよ」
京都人 「んー、そうですか?」
スタッフ「だから薄味じゃなくて色が薄いだけなんです」
京都人 「...せやかてねぇ」

なんて風に落としてた。
うぅん...。


これって色々とおかしい。
まず京都人に食べさせたそばのダシは何だったんだろう?
“味”って、単純に塩分濃度だけで決まるものではなくて、調理の仕方や調味料の使い方、ダシの種類で味の感じ方が随分変わる。

だから実験するなら
・同量の薄口・濃口醤油をそれぞれ使用し、醤油の差以外は同じ調味料と調理
・昆布ダシのもの、鰹節でダシをとったものを準備
・昆布x薄口、昆布x濃口、鰹節x薄口、鰹節x濃口の四種のダシ
・関西人のモニター100人(各年代)関東人のモニター100人(各年代)

・店舗で販売しているそばダシを10~50軒分程度採取し、塩分濃度を検査
こんな条件で実験を行って結果がどのように出るか、じゃないのかしら?


元々京都で育って関東へ来た人間からすると関東風は、辛いと言うよりも「塩辛い」「甘辛い」と調味料が前に立つのが関東風で、ダシの味が前に立つのが関西風で調味料は後ろの印象。だから鰹節の(安物であれば血合いの)香りと昆布の香りは全く違うし、塩分濃度云々以外の味の要素が多い食べなれないものを食べさせて「これ濃いわ」と言わせて「塩分濃度云々」を持ち出すのはかなり恣意的なやり方。

3)味の決め手
関東
「だし」も大事ですが、味を決めるのはその後の醤油等の調味料が「つゆ」の味の決めてになります
関西
「だし」で勝負は決まります、その後に入れる薄口醤油は風味付けの役割を担い脇役です。

おまけ)
日本人の舌は、イノシン酸とグルタミン酸が合わさると一番美味しいと感じるらしいのですが、
「関西だし」は鰹節(イノシン酸)、昆布(グルタミン酸)の合わせ技
「関東つゆ」は鰹節(イノシン酸)、濃口醤油(グルタミン酸)の合わせ技
ちゃんと理にかなってますね。

おまけ2)板前さんから聞いたウンチク
関東
水の硬度が高く昆布で「だし」が取れなかったので、旨味のために濃口醤油が開発された。
(硬度の高い水で昆布を煮ると「だし」が出る前に溶けて昆布の臭みが出る)
関西
昆布の旨味はグルタミン酸なので、更なる旨味の追加は必要ない。
しかる後に風味付けのための薄口醤油が生まれた。


関東と関西のだしの違いをくわしく教えてください。 - Yahoo!知恵袋

東京のそばつゆは鰹節のだしと濃口醤油を使うのに対して、関西のうどんつゆは昆布と何種類かの鰹節でだしを取り、醤油は淡口を使います。

東京のそばつゆは昔から温かいそば用の甘汁でも「飲んだら辛いが、食べたら旨い」のように作るのが良いとされています。
それに対して、関西のうどんつゆは、伝統的に「飲んでも旨い」つゆです。
その為、醤油も塩分は濃口醤油より多めだが、旨み成分は少ない淡口醤油が合っていたとされています。

さらに、関西のうどんつゆは、東京のそばつゆのようなかえしを取らず、だしに醤油を直に合わせて作ります。
醤油の角が取れてない上に、塩分含有量の多い淡口醤油を使うから塩気が立ちます。
したがって、薄い味付けでも充分にうどんを引き立てるつゆになります。


東京のそばつゆと関西のうどんつゆ

これがQEDなのかな、と。
使い方が違えば塩分濃度云々以外の差が出るのは当然。
分量も違うし考え方も違う。

なんか恣意的な結果を出すような実験だけを見せて「○○は××です」とやられても「おぉ、なるほど!」なんて事にはならない。
神奈川の自意識過剰さと勘違いの優越感をディスるのは別にいいけど(笑)、ハンパな実験結果を見せて“関西人の薄味アピールウザい”へ誘導するのはなんか違う。

猿に釣り糸括り付けて動物虐待とかやらせとか騒ぐのは簡単。
こういう小さい恣意的な印象操作や誘導は山のようにあるんだよなぁ。

テレビの問題ってそういう小さな恣意的誘導の積み重ねだと思ってる。
“ツウ”好みの京都本―京都の街に一歩踏み込む最強ガイド (えるまがMOOK ミーツ・リージョナル別冊)