スムースな人間関係はポジティブで誠実な思考 「元ドイツ情報局員が明かす 心に入り込む技術」

元ドイツ情報局員が明かす 心に入り込む技術
レオ・マルティン著「元ドイツ情報局員が明かす 心に入り込む技術」を読んだ。

最近、TBS深夜でも始まった「ホームランド」と言うアメリカのドラマがある。
イラクからテロリストの捕虜になっていたニコラス·ブロディ軍曹が救出される。
CIAのキャリー・マティソンは自分の情報屋から「アメリカ兵がテロリストに寝返った」と言う情報を聞き、その裏切ったアメリカ兵がブロディではないかと監視を始める、と言うお話。
よくあるスパイものだと銃を乱射したり、殴り合いとかアクションシーンで盛り上げるが、この「ホームランド」の場合、主人公キャリーはデスクワークの諜報活動(監視カメラとかPCとか)が中心で、仕事と精神病との葛藤、バランスが物語の中心になってる。
ドラマはどんどんドラマらしくなっていくが、それにしても銃撃戦とか派手な展開はとても少ない。
実際の諜報活動もそれほど派手な訳でもないらしい。


「元ドイツ情報局員が明かす 心に入り込む技術」
よくある自己啓発書と違う一番の大きな特徴は、元ドイツ情報局員が自分の関わった事件(勿論、フィクションとして脚色してるだろうが)をベースにして某犯罪組織の内部に「どのようにして情報源を造り上げるか」について書かれているところだろう。
諜報活動のテクニックではなくて、犯罪組織の構成員と接触し内部情報を流すような情報屋にするための手管。
「○○は××である!」みたいに何の裏付けもない作者の適当な決め打ちでは無く、とある犯罪組織があり、その犯罪組織の情報を手に入れるために内通者(V人材)をどうやって作り上げるか...その流れをストーリー仕立てにしてあり、その都度要所要所で技術の説明が入るといった具合で、実用書・自己啓発書が嫌いな人間にも読みやすく仕上がってる。
なにせ「元ドイツ情報局員」が現場で使っていたテクニックについて書いてるんだからそりゃ説得力がある。
どっかの学者とか何とかプランナーみたいなよく判らない肩書きのやつが漠然と書いているよりも余程。


面白いのは「心に入り込む技術」として挙げている事の最初から最後まで共通するのは
「相手に対して誠実に、信頼されるように、嘘をつかない」
というフィクションの世界の秘密諜報員とは違う信頼を背景にした関係性を力説してる。
犯罪組織に乗り込んで銃を撃ち、ハッキングし...なんて派手な場面は1ページも無い。

どんな嫌な相手にも良い部分はあるし(作中の場合は特に犯罪組織の構成員なのだし)そういう部分を見て相手を否定せずに認識しよう。
そして誠意をもって約束は必ず守り、ウソはつかない。
ウソをつけば信頼に足りない人間と思われ、関係が破たんする、と言う。
一部引用すると

→周囲の人たちに対する自分の考え方をチェックする
→相手を値踏みするような態度や低く評価する態度を改める
→相手に対するネガティブな考えを持ち出さない
→調和した人格であるように心がける
→接する人すべてについて、よい特性を見るようにする
→平静さを保つ。何を個人的に受け止め、何を個人的に受け止めないか(こちらの方が重要)、自分で決定する
→感情の引き金となるものを知ること

情報員マニュアルより

作中では、犯罪組織の構成員の1人と偶然を装い接触、何度かの接触をおぜん立てした上で最終的には情報屋として仕立てあげる。その過程の中で先ほどあげたような「信頼される関係性」をどのように作り上げるかが説明されている。
「元情報員」と聞くともっと人たらしや詐欺師的な技術や、DAIGOみたいなメンタリズムテクニックでも書いてあるかと思いきや
「人間の関係性は信用だ!」
と非常に真っ当で、なにやらどこぞのナンパテクニックのブログでも似たような事を書いてたが、人と人の関係性は結局そこに尽きるのかも知れない。


ネガティブに捉えず、冷静に対処し、必要なモノを切り分け判断する。
情報員でなくてもこういう誠意ある対応ってのは日常生活でも使える筈だが
「嫌なやつにも必ずいい面があり、そこを捉えよう」
という教えは実践するにもなかなか難しい。

例えば、嫌なやつを具体的に1人イメージして、そいつの良い部分を...。
んー、いい部分を見る前に考えるのをつい拒否してしまう 笑

それが出来るからこそ情報員なんだろう。

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続編の「心を見透かす技術」では相手の心を読んでいかに関係性を構築するか?が焦点らしいので、機会があれば読んでみたい(今は積読多すぎて無理)。
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