今、生きてるなら「ザ・ワールド・イズ・マイン」を読め

真説 ザ・ワールド・イズ・マイン 1巻(1) (ビームコミックス)
ある時、それまでごくありふれた“普通”の生活をしていたトシはモンと出会う。
モンは、異様なカリスマ。
そして欠如した倫理観と道徳観。

モンはトシに囁く。
「使え、力は絶対だ」
「命は平等に価値がない」

トシは爆弾を作る。
作った爆弾を街に置き無差別に爆破する。
理不尽に他人の命を蹂躙する力。

同じ時、巨大な獣が現れる。
その獣は無慈悲に出会う人間を殺戮する。
そこに理由はない。
目の前にいる。だから殺す。


最近、善とか悪の話を読んでたせいか。
ザ・ワールド・イズ・マインを思い出した。

新井 「命は大切だ」なんでいろいろガチャガチャ言ってるけど、実際のところ関係のない命は関係ないじゃないですか。
それを一言っちゃったらおしまいだし、そんなの当たり前なんだけど、そういうのをベースにしながら、それでも「命は大切だって言ってるのかお前?」っていう感じが……突きつけたいとまでは言わないけれど……読者に伝わればいいなあと

ザ・ワールド・イズ・マイン作者 新井英樹 インダビュー

多くの作品が消えゆく命を描き、その儚さを強調して
「命って大事でしょ?ひとつひとつが地球一つの重みがあるんです」
と世界の真ん中で愛を叫ぶ。
あの葉っぱが落ちた時、ぼくの命は消えるのだと涙を流してみせる。
あぁいうキレイなもの言いにも、一応の効果と言うか、あれに同調する人々もいるしあれはあれでいいんだろう。
それに居心地の悪さを感じる人間もいるが。


ザ・ワールド・イズ・マイン」で描かれる理不尽で無慈悲な暴力と殺戮。
戦争映画で多くの人間があっさりと死ぬように、この作品の登場人物の命もあっさり奪われる。
しかし軽くない。
重い命が、普通に見かける普通の人間が一瞬で肉塊になる。
銃弾の一つ、爆発に巻き込まれ、破片を受け、獣に潰され。
読者はその理由も無い大量の死によって「命の価値とは何か?」を考えてしまう。
多くの作品での一人の死には理由がある。
悪いことをしたから、運が悪かったから、いいひとだったのに。
トシとモンの殺戮は無軌道で巨大な台風のように次々と人を殺す。
理由はない。
「殺す。そこに命があるから」


避けられない死が隣にあるのにそれを意識せずに生きている。
赤信号で横断歩道を渡る人間の頭に「自分が車に轢かれる」と言う可能性はない。
もしあれば青信号まで待つ。
青信号で待っていようが死ぬときは死ぬが、赤信号を渡るよりは死ににくい。
自分だけは違う。
死なんて対岸の火事。


でも誰にも等しく死と暴力は訪れる。
無慈悲に、なんの予告も無く。
善人でも悪人でも。
マンガを読みながら、ネットをしながら死ぬかもしれない。

暴力って好きよ、俺
それが絶対的な恐怖で戦慄なら なお、ステキ
暴力って 理に適ってたり、つじつまが合ってたり同情的である必要ないだろ
苦痛のみが全てを司る
傑作だぜ、まったく ハハハハ

鉄コン筋クリート/松本大洋

乱れ飛ぶ銃弾と爆風、流れる血と築かれる死体の山、加害者家族への批判、社会問題、根源的な自然という暴力。
何のために生まれて何のために死ぬのか。
生きるとは何か。
ページを埋め尽くす暴力によって「命」の価値を露わにした名作。
真説 ザ・ワールド・イズ・マイン 2巻(1) (ビームコミックス)
真説 ザ・ワールド・イズ・マイン 4巻 (ビームコミックス)