「テラフォーマーズ」のグランドホテル方式によるパワーインフレの抑制

テラフォーマーズ 7 (ヤングジャンプコミックス)
「テラフォーマーズ」第7巻読んだ。
雑誌連載は追ってないのでこの後どんな展開があるか知らない状態での感想。


まず火星に着いて各国の思惑があり、それぞれに行動する、と言う大枠がある。
そこに裏のストーリーがあって、表面的な大義で動く(日米)主人公らはそれを知らない。
読者はそこに感情移入して読む。
ゴキブリは敵として登場してM.O.手術を受けた人間と戦う。
しかしゴキブリも進化していてバグズ手術の技術を持ってる、と。
これは裏ストーリーに準じてるが表に出してもいい。
伏線として繋がるんだろう。

ドラゴンボールとHUNTERxHUNTERで過去に
「HUNTERxHUNTER」で否定されるパワーインフレーション - あざなえるなわのごとし
キルラキルのパワーインフレ構造 - あざなえるなわのごとし

こーいう記事を書いた。

バトル漫画で主人公が敵を倒す。
すると次の敵が現れる。
対抗として主人公はさらに強く成る。
これを繰り返し、強い敵が出れば主人公は強く成りつづけなければならない。
これがバトル漫画での「パワーインフレーション」

それを防ぐ方法が幾つかある。
そのうちの一つが「複数の登場人物を使う」

複数の人物のグランドホテル形式(アンサンブル・キャスト)で何人かの登場人物の幾つかのストーリーを同時展開させる。
そうすることでパワーインフレの速度を人数分押さえられる。
具体的に例えてみると

【Aだけが主人公の場合】
1.敵Xが登場
2.AがXを倒す
3.敵Yが登場
4.Aは修行などでパワーアップする
5.Aが敵Yを倒す
6.敵Zが登場
7.Aは修行などでパワーアップする
8.Aが敵Zを倒す

敵の登場3回に対してストーリーは8まで進む。
Aのパワーアップは2回。

【AとBが主人公の場合】
1.敵Wが登場
2.AがWを倒す
3.敵Xが登場
4.Bが敵Xを倒す
5.敵Yが登場
6.Aは修行などでパワーアップする
7.Aが敵Yを倒す
8.敵Zが登場
9.Bは修行などでパワーアップする
10.Bが敵Zを倒す

これだと敵は4回登場しているがストーリーは10まで進む。
各キャラの戦闘は2回、パワーアップは1回。
人数が増えればストーリーの進行は早いが成長は遅くなる。

テラフォーマーズの場合、これに裏ストーリーと地球の動き、死にキャラの殺戮も入れるので更にストーリーは進み成長は遅くなる。


ストーリー全体の流れからすれば(主人公クラスの)登場人物の複数化はパワーインフレの抑制とストーリー展開の長化を果たせる。
テラフォーマーズのバグズ手術及びM.O.手術は何度も使える訳じゃない。
そして強化のタネが他の生物である以上、それ以上の(隠し玉や精神論)は難しい。
有りえたとしても複数の因子をM.O.手術で得ている、と言った程度のパワーアップになるから主人公らが何段階も(界王拳、○○倍だ!みたいな)お手盛りのパワーアップはできない。
そこで各国の様々な人間がM.O.手術を受けていて戦うと言う風に展開させる。
これがもし「日米だけのチームで」ならとっくに真相に辿り着いてる。


とはいえゴキブリにしろ何度もパワーアップはさせられない。
火星に生物遺伝子は無いのだから、第一次で持ち込んだ遺伝子がベースのバグズ手術になる。
そこで内乱を起こして「M.O.手術vsM.O.手術」のストーリーに持ち込む。
中国が科学的な兵器で戦ったのも手の内を隠す効果がある。
バグズ手術にしろM.O.手術にしろ、後出しが負けるジャンケンになってる。
「ふっふっふ、説明してやろう」
と言い出したら負けフラグ立て。
奥の手を先に出せばそいつは負けると相場が決まってる。


各国の思惑が動き出してロシア、中国、そしてローマ辺りがキーになる。
膝丸燈とミッシェル・K・デイヴスの因子は当然重要になるし、この辺でどう展開させるかが見もの。
対ゴキブリよりもカニ対タコの方がそりゃあ面白い。
人間同士だから話もするし騙し合いとウンチクも豊富に語り合う。
八巻が楽しみですわ。
マンガの深読み、大人読み