飯田 泰之 「思考の「型」を身につけよう 人生の最適解を導くヒント」は、経済学的思考が判る入門書
飯田泰之「思考の「型」を身につけよう 人生の最適解を導くヒント」
タイトルに“思考の「型」を身につけよう”とあるので、自己啓発系にありがちな「こういう場合はこう考えるんだ」という思考テンプレートを書いた本かと思ったら違っていた。
内容は、思考についてと言うより「初心者向け経済理論入門」に近いだろう。
著者の飯田泰之氏は、
飯田 泰之(いいだ やすゆき、1975年 - )は東京都出身の経済学者、エコノミスト、明治大学政治経済学部准教授。株式会社シノドスマネジング・ディレクター。財務省財務総合政策研究所上席客員研究員。専門は、経済政策・マクロ経済学。Wikiに項目があるんだ...。
例えばこんな一節がある。
日当5,000円のバイトをサボって3,000円の飲み会に出席したとしたら飲み会の参加費は幾らか?
3,000円ではなく、5,000円の日当がなく、しかしバイトの精神的・肉体的な負担は無いので金銭に換算して2,500円だとすると
・バイト代が発生しない 5,000円
・バイトの精神的・肉体的な負担は無い -2,500円
・飲み会の費用 3,000円
=5,500円となる。
これが「機会費用」と呼ばれるコスト。
ある行動を選択することで失われる、他の選択肢を選んでいたら得られたであろう利益のこと。実際に会計上の費用の発生や金銭支出を伴わずに発生する経済学上の費用のこと。これは、利用することのできる資源が有限であるために生じる。例えば、大学で勉強するということは、大学に授業料を納めなければならないというだけでなく、その間、正社員として働くことを諦めることでもある。このとき、もし大学に通わずに働いていたならば得られたであろう収入が、機会費用にあたる。また、現金を所有するということは、それを運用することで得られる利益という機会費用を諦めていることになる。
この流れで割引率や確実性等価(この辺りは脳の中の経済学 (ディスカヴァー携書)の方が色々書いてる)、サンクコストなどの説明がある、と言った具合。
こんな風な理論があって、こういうことだ。
こんな時はこういう風な理論があって、これはこういうものだ。
経済学的に考えればこれは...。
「経済学ではこう考えるのだ」をという既存理論を用いてそれに当てはめる、
それを「思考の型」と表現してる。
確かに色々な事柄に経済的なそういう理論を当てはめて考えれば「型」になる。
ただ、いわゆる「思考方法の本」を期待すると肩透かし。
あまり経済学に触れた事の無い人にはちょうどいい感じの入門書。
これを切っ掛けに知識を深めて行けばいい。
ただ逆に経済学の教育を受けてれば少し物足りないかも知れない。
「人生の最適解(を導くヒント)」はちょっと言い過ぎかなぁ...。
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