ファッション雑誌の表紙に見るトレンド推移

メンズファッション雑誌の表紙に異変!若者向けにはアイドルを、30代向けは生き方重視に。 | 隠居系男子

最近、本屋のメンズファッション誌コーナーに行くと、明らかに表紙の傾向が変わったなと思わされます。

今までは、イケメン俳優が表紙というのは鉄板だったのに、最近ではもう彼らが表紙に採用されることは少なくなってきているんです。

では、今はどんな人達が表紙に登場しているのか?

若者向けの場合は、アイドルや女優など、女性誌なのかと思ってしまうほど女性ばかりです

ファッション誌は世相を映す。
かつてのライブドアショック前はファッション業界も好景気を受けて華やかだったのに、リーマンなどの影響で景気は一気に下降線を辿った。







【HugE】

HUgE (ヒュージ) 2007年 07月号 [雑誌]
2007年頃、毎月読んでたHugEは、DIOR HOMMEにマルジェラ、マックイーン、マルニなど層々たるブランドのアイテムが各ページに載ってる。一つページのモデルの上から下まで合計すれば数百万なんてざら(うわー、表紙Number(N)ineのサングラスだー。未だ持ってる 笑)。
ところが不景気に突入、ブランド離れが進行。
HugEも方向転換を余儀なくされ、リニューアル→紙質を落とし、高級ブランドよりもカルチャーマガジンとしての方向性を前面に出し始めた。
しかしリニューアルは購買層が離れる結果になった。
HUgE (ヒュージ) 2012年 06月号 [雑誌]
部数は以下

2008年4~6月 40,667
2009年4~6月 38,000
2010年4~6月 32,000
2011年4~6月 24,667
2012年4~6月 19,334
2013年4~6月 17,000

※JMPA印刷部数公表による


【POPEYE】

POPEYE (ポパイ) 2007年 02月号 [雑誌]
POPEYEもHugEと同様。
2007~年頃は祐真朋樹色が強く出たハイファッション指向。表紙はナインにディオールオムにオムプリュ。
2010年には、トム・ブラウンが表紙の号、なんてのもあった。
POPEYE ( ポパイ ) 2010年 03月号 [雑誌]
少しUK色が強いのも特色だった。

ところが2012年、POPEYEが大きくかじ取りを変更する。
POPEYE (ポパイ) 2012年 06月号 [雑誌]
それまでのブランドから一転、シティボーイ路線を打ち出し、モードよりもアイテムへのこだわり...アメカジやファションの歴史やうんちくを語り始める。
これからのファッション入門者向け雑学満載。

2008年4~6月 83,167
2009年4~6月 71,500
2010年4~6月 51,334
2011年4~6月 46,667
2011年7~9月 43,834
2011年10~12月 43,334
2012年1~3月 41,834
2012年4~6月 53,500
2012年7~9月 57,667
2013年4~6月 92,000

※JMPA印刷部数公表による
そしてこの方向転換は成功する。
2012年6月を境に下降していた部数は上昇、今や低迷期の倍ほどの部数になってる。


ライトニング

アメカジなどアイテムの歴史や背景、素材などにこだわる層は「景気に左右されないファッション」ヲタクであり、「モテるためにオシャレする」のではなく「○○と言う歴史があり、こだわっているアイテムだからこそ買う」というファッションうんちく層。
モード系はデザイナーを追い、アイテムウンチクの方々はミリタリーの歴史を追い、ディテールの意味性や使われている素材、復刻されるアイテムやデッドストックに欣喜雀躍(こおどりして喜ぶこと)する。
Lightning (ライトニング) 2013年 11月号 [雑誌]
この層は常に変わらず一定層あり、雑誌「ライトニング」の部数を見ても変動の無さ...安定感がよく判る。

2008年4~6月 98,700
2009年4~6月 110,667
2010年4~6月 100,367
2011年4~6月 98,967
2012年4~6月 95,267
2013年4~6月 103,634

こうして見ると、メンズのファッション、とくにファッション雑誌はテイストが変わらない方が支持を集めやすいのではないかと思えてくる。
ちなみにコテコテのミリタリー、ビンテージ系の雑誌「ライトニング」の印刷部数は10万3634部(今年4月~6月)で、「メンズクラブ」は6万1734部(同期間)である。
もちろん、両雑誌とも定期的にリニューアルを繰り返しているが、昔の面影が無くなった度合いでいうならメンズクラブの方が高い。昔親しんでいたころの面影はほとんどない。
ライトニングはいささかマイルドになったとはいえ、面影は残っていると感じる。
今回はあくまでも私見で確証はないが、メンズファッション雑誌において、変わり映えのなさと印刷部数の多さには何らかの相関関係があるように思えて仕方がないのだが

メンズファッション雑誌 内容と部数の相関関係を考える | Fashionsnap.com

ファッション、とひとえに言っても「モテたいからオシャレする」と言うのと「オシャレアイテムにこだわりを感じて買う」のは全く違う。
後者は女性には少ない要素だが、男性のコレクター心...マニア・オタクや趣味心と言うのは景気に左右されづらい。
だからこそアメカジ雑誌は一定の売り上げを誇る。


若者→オヤジへのスライド

LEON (レオン) 2014年 01月号 [雑誌]
オヤジ系雑誌の代表「LEON」の数字を見るとこれも面白い。

2008年4~6月 70,467
2009年4~6月 72,500
2010年4~6月 73,167
2011年4~6月 79,500
2012年4~6月 85,467
2013年4~6月 84,434

※JMPA印刷部数公表による
確実に数字が伸びている。
逆にファッション誌の大メジャーMEN’S NON・NOを見てみると
MEN'S NON・NO (メンズ ノンノ) 2013年 12月号 [雑誌]

2008年4~6月 233,333
2009年4~6月 220,000
2010年4~6月 206,667
2011年4~6月 180,000
2012年4~6月 176,667
2013年4~6月 140,000

※JMPA印刷部数公表による
右肩下がりから脱却できていない。
雑誌の表紙云々と言うレベルではないと言うのがわかる。


メンノンのように若者向けは若者の絶対数の減少とファッションヲタへの傾倒もあり、モードにしろファストにしろ若年層向けは厳しく、逆にファッションを好きなまま歳を重ねる層がLEONへスライドしていく。
かつてのファッションを支えていたのは若者だったが、今はオヤジ~やそれに差し掛かる層へと移りつつある。
そこそこ稼ぎ、家計も安定し、景気も悪くない。そうなればそこそここだわったアイテムへと手を伸ばすのは理解できる。
女性誌などは付録を付けることなどで部数の回復を図ったりしたが、男性誌ではそれほどの威力は無い。
そこで全面リニューアルなどによるターゲット層の練り直しが必用なんだろう。


ヲタクへのアプローチ

なぜメンノンが“キラキラ腐女子”を掲載したのか? - あざなえるなわのごとし
以前にこんな記事を書いた。
Smart (スマート) 増刊 魔法少女まどか☆マギカver. 2013年 12月号 [雑誌]
smart (スマート) 2013年 01月号 [雑誌]
SPUR (シュプール) 2013年 02月号 [雑誌]
SPUR (シュプール) 2011年 10月号 [雑誌]
最近、アニメなどのキャラが表紙を飾るファッション誌すら出始めた。
ラコステでは手塚治虫とコラボしてポロシャツなどを販売。
今やファストではなく「脱ヲタ」でもなく、オタク層に向けていかにファッションを売るか、というアプローチも試行錯誤されてるように見える。一度不景気を味わい、ファッション界はさまざまな購買層へと分散投資を図ってる。
一定の購買力が変わらない層、今一番お金を持っている層、これまで買っていない層。
そういうアプローチを探っているからファッション界は今や面白味もあるが、節操がないとも見える。
そんな中での今の最適解が「女性アイドルを表紙に使う」
牽引力のあるムーブメントの無い今、男性の外人モデルが、高級アイテムを着ている表紙では今の若者は手にとらないってことだろう。