どす黒くエロく、エグい映画「悪の法則」
すべては、"カウンセラー"と呼ばれる若く有能な弁護士がほんの出来心で裏社会のビジネスに手を染めたことから始まった。美しいフィアンセとの輝かしい未来を夢見た彼の欲望は、周囲のセレブリティたちを否応なく危険な事態に巻き込み、彼らの虚飾に満ちた日常を揺るがしていく。しかし彼らは、まだ気づいていなかった。この世の闇に渦巻く"悪の法則"に魅入られ、もはや逃れようのない戦慄の罠に絡め取られてしまったことに......。「ザ・ロード」「チャイルド・オブ・ゴッド」のコーマック・マッカーシー原作。監督は、リドリー・スコット。
コーエン兄弟っぽいサスペンス展開と哲学っぽいセリフ満載のサスペンス劇。
難解だ、と聞いていたけれど見てみたら非常にシンプルでエグイ映画だった。
この映画を難解と感じるのは「このキャラクターがなぜこれを行っているのか」という描かれない動機や行動原理の部分を求めてみれば確かに足りないのかも知れない。
例えば主人公の弁護士は美しい妻がいて、金にも困っていない(否定される場面があるが「金が目当て」と言う示唆はない)。
平和に生きるなら生きられる。
だが危ない仕事に手を染める。
おかげで全てを失うことになる。
キャメロン・ディアスも行動原理は実は変わらない。
金に困っているわけではない、生活に困っているわけでは無い。
だが生きることに飽いている。
その辺りの人間の動機は描かれない。
エロスとタナトス(性と死)。
同じ「死」が、人によってはスナッフフィルムの素材であり、首を落とされた死体が性の対象であり、ある人にはかけがえのない愛する人に振りかかる。
作中に登場するメキシコの悪人らには人の命はただの意味のないもの。
死体すらお守りとしてドラム缶の中で腐り果て延々と国境を渡り続ける。
誰かにはヒマを潰すための道具、ゲーム。
その思惑は神にも許されない。
選択肢は常に与えられ、選んだ結果が与えられる。
思い悩んだ時点ですでに運命はきまっている、それを受け入れるしかない。
それがどれほど受け入れ難く不条理で、どれだけ残酷であれ。
神に許され愛されてすばらしき世界を生きるなら、どす黒い闇の中に手を突っ込んだりしないほうがいいよね、ってことですかね。
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