ひとは自分の興味のないジャンルをバカにしたい
ラノベ語りが活発だけど、まだハヤカワの背表紙が緑色でスニーカーと富士見ファンタジアが創刊されたような時代のジュブナイル世代としては今のラノベは知らない。
スルーするつもりだったんだけれども。
なんか余計な方に広がりつつあるのは気持ちが悪い。
ウチはラノベなんて突っ込みたくもないんですが(めんどくさいのがいるので)残念ながらミステリ(弱SF)者だもんですから。
ミステリとSFからのお話を。
ラノベを語ろうってわけではありません。
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ラノベ作家 冲方 丁
ラノベを語りたいなら最低限以下の3作品は抑えていただきたい。
マルドゥック•スクランブル
空の鐘の響く惑星で
砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない
まあ少しずるいですが、ラノベの認識変わると思いますよ。
— liar331 (@liar331) 2015, 2月 1
んー。
「空ノ鐘の響く惑星で」は置いといてそれ以外を処理しますね。
しらんし。
まず冲方 丁の「マルドゥック・スクランブル」
冲方自体は菊地、夢枕の影響下にある作家で、デビュー作「黒い季節」も伝奇ロマン。
「ばいばい、アース」も角川文庫から出るんですが、次の「微睡みのセフィロト」が徳間デュアル文庫から発売されこれが冲方のラノベレーベルからの発売一弾になる。
その次に王道ラノベレーベル富士見ファンタジアから「カオス レギオン」を発売。
そしてハヤカワから「マルドゥック・スクランブル」を発表しこれがヒットする。
近年は「天地明察」「光圀伝」「はなとゆめ」など時代小説風味の一般小説を続けざまに発表してる。
まず作家による
「作家の○○はラノベ作家だ」
「○○が書いているからラノベだ」
と言うジャンル分けはできない。
上記の冲方にしろ同じ作家であれラノベ、SF、一般とレーベルをかき分けていて売り方も読まれる層も違う。
「マルドゥック~は」、リアルタイムに発売当初から読んでいてSFだと思ってましたが。
ハヤカワ文庫から出てるんで、特にラノベに入れる必要もなく。
たとえば栗本薫はSFファンタジー「グインサーガ」で有名だが、探偵 伊集院大介の活躍するミステリー、ラヴクラフト神話体系に連なる魔界水滸伝シリーズなどなど著作のジャンルは幅広い。
単に売り方として売り場を明確に別ける、読者層を想定し売り込むための「ジャンル分け」という手法が権威を持ってしまうとそれはそれで困る。
ジャンルなんて明確に別れるものではなく、別けるとすればそれは出版社がどの棚に並べたか、どういうジャンルとして売りたいのか、でしかない。
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけないは富士見ミステリー文庫(ラノベ+ミステリ)から発売され、その後ハードカバーになり、角川文庫になる。
表紙の変遷は以下、
【富士見ミステリー 2004】
↓
【富士見書房 2007】
↓
【角川文庫 2009】
この変遷でもわかるかと思うんですが富士見のハードカバーの表紙や、角川文庫の表紙&レーベルでしか出ていなかったとしたら、果たしてラノベ文脈で語られたのかな、と。
上記ツイに関して言うなら、ハヤカワから出てるマルドゥックまでラノベに入れるなら、神林長平や新本格作家でもラノベ語り出来てしまう。
「アニメになってんだから」と言われてしまえば戦闘妖精雪風もラノベ文脈で語られてしまうかもしれない。
そーいえばラーゼフォンのノベライズしてましたっけねw
ハヤカワから出ていても「ラノベっぽいからラノベだ」と言うことであれば、野尻抱介はガッツリとラノベで語られてしまう。
クレギオンは経緯からしてそっちでもいいですが。
西尾 維新はメフィスト賞(ミステリ地雷原)受賞の「クビキリサイクル」のシリーズもラノベ文脈でよく語られてしまう。
最近では「ファウスト」などミステリー&ラノベを意識した動きも強い。
この辺は、過去に富士見ミステリー文庫や角川スニーカー文庫<スニーカー・ミステリ倶楽部>で失敗した「ラノベなミステリ」というジャンル売りの方向性を見るためとも考えられる。
ラノベっぽいからラノベ
この無益な泥沼はそもそも
「ミステリー、SF、ファンタジーだろうが、ラノベのレーベルから出せばラノベ」
という漠然としつつも明確なジャンルの筈が、出版社がSFやミステリーなどの売り上げ不調から新たな読者層開拓のためにラノベに近づき「ラノベ風SF」「ラノベ風ミステリ」などのレーベルを創設し、「敵は海賊」のアニメ化やミステリ畑出身の西尾維新がラノベで一斉風靡したことから「アニメ化したからラノベ」「キャラが強いからラノベ」などなどの「ジャンル」の明確な区分けが曖昧模糊とし、さらにそんな動きが時代によっても異なり認識する人間によって印象も違ってしまったことから結果「ラノベっぽいからラノベだ」などの現在のカオスに至った。
「ミステリ」にしろ謎があればミステリとするのであれば一般小説として出されていても謎のあるものはミステリとしての側面もあり、SFにしろ本来であればSFファンタジーとされるようなものも全てSFにジャンルされたりもする(スターウォーズはSFファンタジー)。
そもそも一般ってなぁに?って話ですよ。
上記が如くハヤカワからSFとして発売した「マルドゥック・スクランブル」もラノベとして語られてしまうわけですが(そこでオイレンシュピーゲルだと違うんでしょうがね)とまれ天地明察はラノベで語られない。
知りませんけど、議論するなら少なくとも「ここからここまで」をまず決めましょうや。
先刻書いたようにレーベルで切り分けてここからここまでなら好きなだけやってりゃあいい。
出版社であれ作家であれそう言うレーベルから出すつもりで書いたのでしょうし。
もしレーベルを遷移した(ハヤカワ→富士見ファンタジア、など)ものであれば、それはボーダーであれ語る対象としては良いんでしょう。
基本が出来てないから「なろう小説」という「小」を「大」と勘違いしてラノベ全体のこととして語ってみたり、ラノベとミステリとSFの垣根を飛び越え組み込み、時代によってジャンルやレーベルの方向性も違うし、どの時代で語るのかにもよっても大きく異なるというのに、その辺も雑に印象だけでざっくり語ってしまう。
レーベルやジャンルが何であれ構いやしませんが、どっかのジャンルの権威づけに牽強付会に別のところの権威を持ってくるのは違うよねーと。
ラノベの入り口にマルドゥックお勧めするんなら、神林「戦闘妖精雪風」でも小川「天冥の標」でもいいんじゃないですかね。
ただそうなるとSF者が怒鳴り込んでくるかも知れませんが(知らん)。
総括としては「勝手に他ジャンルを”っぽいから”でラノベに入れるな」と。
バカにするだのしないだのは興味ないラノベ世界の話なので勝手にどうぞ、と言う感じで。
ロックがアイドルをバカにするということ
ちょっと話はそれますが、ロックの好きな人ってアイドルをすごくバカにする。
ロックはすごい、アイドルはしょぼい、みたいな。
ロックフェスにアイドルが出るとなったら、炎上して「高尚なロックを汚すな」みたいなキ○ガイも沸いて出たことがありましたっけ。
でもそう言うひとはロックフェスにラッパーやソウル歌手が出ても怒らないんですよね。
先入観と単なる偏見やんけ、と。
楽器演奏して歌うだけのバンドと、振付覚えて歌って踊ってバラエティもやってるアイドルとどっちが凄いかって言われりゃあ、単純にアイドルの方がよほどすごいですけどね。
二十何曲の振付覚えて歌って踊るって、それだけでも感心する。
バタフライエフェクト一曲すら踊れない。
しかもステージに合わせて構成も変えてフォーメーションもアレンジして。
(だからってアイドルとしてTOKIOは~とは言いませんよ。もうアレは「TOKIO」と言うジャンルですのでブレる)
いつからロックが高尚なジャンルになったんだか……。
オーケンも言ってましたが、バンドマンは楽屋でゲームやってステージこなして楽屋に戻ってゲームですよ。
結局ね、自分が聞かないようなジャンルをひとは貶したい生き物なわけですよ。
他を貶すことで、自分の好きなモノが正しいと自尊心を保つ。
アイドルなんてくだらない、あんなの聞くヤツはセンスが壊滅的、結局エロ目線だろ、とか。
聞いてないんだから詳しくないけど決めつけているから「その程度」「聞く価値なんてねーよwww」と上から目線。
そーやってバカにする人のセンスがどれだけ高尚だか知りませんが。
偏見で他ジャンルをバカにして見せることで自分の好きなジャンルを補強する。
どこまでも好きと嫌いしかないんであって、そこに後付けでそれっぽい理由を付ける。
所詮そんなもんでしかないんでしょうが。
趣味嗜好なので○○が嫌い、ってんなら解りますが、あのジャンルは~だの、音楽性として低いだの云々と言い出すとなかなか香ばしい。
上のラノベに戻せば、文章力云々とかね。
評価軸ってひとつじゃあないわけです。
歌がヘタだからアイドルなんてダメだ、とかね。
それを言うならそこら辺のバンドよりオペラ歌手の方が「上手い」ですよ。
上手い歌が聴きたいならあえてロックを聴く必要なんてない。
踊りがヘタ、と言うならそりゃあダンサーの方が上手い。
でもバンドなんて立ってるだけですぜ。
ルックスを言うならバンドなんて大概……ねぇ。
でも聴くわけですよ。
サンボマスターだって、HIGHLOWSだってゲスの極みも、キノコ帝国も。
バンド聞くときに歌の上手さとかダンスとかルックスとかで聞いてない。
なのに他ジャンルをバカにするときはその定規を持ち出すんだから面白い。
アイドルってのは総合職ですから。
他ジャンルの評価軸を持ちこんだって仕方がない。
その辺理解できない人が、ひとつの同じ定規で語りたがる。
自分の好みに合うものを聴いてほっこりしてりゃあいいんですよ。
聴けって強制してるわけじゃないんだから。
最近は、エビ中の「金八」とJoey Bada$$とディアンジェロを交互に聞いてますが、それぞれに好いところがあるし聴きどころが違う。
特に「金八」はスタダアイドルの中でもコンセプトがハッキリしたアルバムを出すなぁ、としみじみですね。
あ、Mステ出演おめでとう御座います(アルバムタイトルの「金八」は→金曜八時→Mステのことを指してる)。
何の曲やるのかなぁ。