本当の初心者であれば、感性をまず磨くべきだ。映画を観て、無名から有名までの写真を見て、分析・感想を言語化し、日々感性を研いでいかないといけない。
感性という基礎体力ができてから、初めてテクニカルな部分が活きてくる。テクニックだけ学んでも感性がないのは、チェーンがない自転車を漕ぐようなものだ。
たとえば就職したとして、その仕事のノウハウを誰に聞くだろう?
A「いやー、オレなんて一か月前に就職したばっかだからー。え?ノウハウ??」
B「この仕事?二年目だけど?え?ノウハウ??」
果たしてAに聞くかBに聞くか?
一般的に多くはBだろう。
Aはまだ学ぶ段階であって、ひとに教えるほどの何かをまだ持っていない。
経験、スキル、知識、ノウハウ、バランス。
しかし面白いもので、ネットやブログと言う世界では必ずしもBではなくAが
「オレが教えてやる!」
ということを言いだし、それに納得する人間がいる。
始めて数カ月のひとが書く「オレのブログ論」
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期待されないブログ
「初心者が押さえるべきブログの基本テクニック厳選10」
ブログを始めて数カ月の管理人がそういう記事を書いたりする。
それが「自分がやった基本テクです」ならまだしも、ひどいものになると
「間違いなく結果が出るPVアップのための文章術」
見たことも聞いたこともない、さして文章が上手くもなく、個性にも欠け、月に数万PV程度(普通)のブログを書いてる管理人がなんの文章術を語るんだか……と思って読むと新書で山ほど出てる”文章術”を書き写したようなことが書いてある。
「○○PV達成したからアクセスアップ方法を語ろうか」
みたいなゲスいタイトルの記事を見てみると「毎日更新すること」みたいなのがズラズラ書いてある。
こういうひとは、そういう程度のものをウリにするしかない。
いずれ、そんなドングリの背比べな人々の中で凡百に埋もれていくんだろう。
薄っぺらい権威を支えるのもまた薄っぺらい人々。
薄っぺらい繋がりで褒め合い、薄っぺらい見識で評価する。
しかしそんな凡百の輩でも、小銭を稼げるほどマーケットが広い。
狭い寡占市場ならまだしも、PVは減らず増大する一方。
だから残念ながら大した実績がなくても勘違いでドヤ顔をしてしまう。
量産型アフィリエイター
コグレマサトのようなひとは、ブログのノウハウ・ハウトゥを明文化することでスキルを売る側に回り、プロブロガーのカリスマとして自信を権威化し、死屍累々なブログ界隈で生き残った。
彼の才能が凄いかどうかではなく、それを文章として明確にまとめ書いたから抜きんでた。
ノウハウ、スキルには、ある程度の裏付けがありそれが説得力になる。
上記のA、Bでいえば彼はBに相当する。
そのスキルを誰かがまんまマネし、ひとに教えたところで、それは受け売りの方法論。
しかしそんなネタをまとめ直し権威化し、ありがたがるバカの間をグルグル回るネタのロンダリング。
だから「PVアップ方法」「文章術」は、年中無休で毎日毎日書かれ続ける。
その割に、文章が評価されるブログなんて数えるほど。
ブログでは、感性がなくても、スキルや知識がなくてもそれなりに語れてしまう。
支えるのは無根拠な自信と批判を受け付けずひたすら前に進み続ける愚直な意識。
だから頭がおかしくても頭が悪くても、犯罪にさえならなければ誰の不興を買ってもいいと、ひとのいうことを聞かない人間がネットでは幅を利かせる。
たとえば本を書くにはそれなりの知識も必要だがブログには必要ない。
さほど映画を観ていなくても「ビリギャルが―」と自称”映画評(感想)”を書くことはできる。
もちろんそこに経験的、技術的、知識的な裏付けは何もない。
それでも「オレに言わせれば」と厚顔無恥で無根拠な自信さえあれば問題ない。
裏付けなんて誰も気にしない。
ブログを読むとき、そんなものを期待していない。
映画を年に数本しか観ない人と数十本観る人とが、同じ土俵で比べられてしまう。
だからこそ単に作品が並んでるだけのコピペで作った薄っぺらいリストでももてはやされる。
爆走と逆走
今は誰でも自転車に乗って走れるが、中には交通ルール無視で逆走し歩道を爆走するバカがいる。
免許、資格制にすれば大概の自転車は取り上げられるだろう。
同じく現存するブログだって何かしらの基準に照らせばほとんどが消え去る。
幾らブログ術を読んだところで、センスが無い人間には身につかない。
0には、何を掛けても0のまま。
とはいえ、例え内容が0でも何か書けば誰かが読んでくれる。
薄っぺらい繋がりの「なかよし」仲間が「参考になります!」と褒めてくれる。
いいね!
何度も繰り返されマンネリ化した、ゴミのような記事にすら価値が生まれる。
誰も期待しないから、いつまでも素人の雑文と小銭稼ぎの手段。
ネットは、インスタントに承認欲求を満たす機械として未だに機能してる。
このブログもご多分に漏れず凡百の中のひとつでしかないのは言うまでもない。