APPLE MUSICとモノからコトへのパラダイムシフト
APPLE MUSICを絶賛満喫中。
自動更新しない設定したのに、このまま更新しそうな予感。
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Blackstar (Mos Def & Talib Kweli) - Definition - YouTube
今週はブリストルなTrickyを聴き、モスデフことヤシーン・ベイのブラックスター時代のアルバムや、今ジャズなデリック・ホッジを聴いたりしてる。
気づくとForYouの欄にアウトキャストのアルバムが表示されてるもんだから久々にHeyYaなんて聴いてみる。
流行ったよねー、アウトキャスト。
もはや懐かしい。
ちょうどラップやジャズを聴き始めたばかり。
iTunesで映画レンタルと音源購入で2万を半年で使い果たすので、AppleMusicでかなりの節約ができるのは間違ない。
APPLE MUSICは、ジャズやラップ、ロックの品揃えはかなりのもの。
ですね。
ジャズ、ロック聴きにはとてもよい。
定額制で壊れるモノ
ところで、DJホームラン氏のAppleMusicに関する連ツイが示唆的だった。
AppleMusicを含むストリーミング型サービスの隆盛が音楽産業にとってどう転ぶのか分からない。具体的な数字のデータを持っていないから、「音楽とお金を巡るピラミッド構造が今まで以上に大きく変化していくんだろうな」という事ぐらいしか分からない。ただ、何かが壊れるんだろうとは思う。
— DJホームラン (@muteit) 2015, 7月 5
しかし、その「何かが壊れる」事を繰り返しながら音楽産業および文化としての音楽はその形を変えてきた。活版印刷によって楽譜が大量生産できるようになった時も、レコードが発明された時も、テープやMDにダビングできるようになった時も、音楽を巡る何か(『一回性』とか)は壊れてきたのだろう。
— DJホームラン (@muteit) 2015, 7月 5
世界的にここまで物理的な音楽ソフトが売れなくなって、音楽の収益化が難しくなって、その一方でDTMの発達や機材の高機能化、廉価化によって楽曲制作のハードルが低くなってきたことは、
— DJホームラン (@muteit) 2015, 7月 5
音楽を、限られた専門職の人が人生を賭して繰り出す営みから、他に本職を持つ人々が余暇に行う営みへと、その性質を変えつつあるような気はしている。つまり、音楽だけでは食っていけない。
— DJホームラン (@muteit) 2015, 7月 5
しかしそれが絶望的な話というわけではない。「音楽家は音楽だけで生計を立てなければならない」という考え方を、社会が捨てれば良い。音楽は、特にソフト販売という形態においては既にマーケットが壊れた。しかし、音楽が壊れたわけではない。
— DJホームラン (@muteit) 2015, 7月 5
もうCDを何百万枚も売って利益を上げられるような時代は来ない。CDなんて、特典目当ての一部のお得意様しか買わない。現に我々は既に、街でCDを買おうと思ったら、近所にたまたまタワレコやユニオンがある恵まれた環境でもなければ、TSUTAYAやヤマダ電気の限られたスペースに頼るしかない
— DJホームラン (@muteit) 2015, 7月 5
だから、我々は「CDやレコードを買う事」とか「音楽メディアにお金を落とす事」だけが「音楽への愛の表明」になるという意識を捨てる。音楽家は「ソフトの販売数が音楽への評価になる」という意識を捨てる。それでも文化としての、人間の営みとしての音楽は死なないし壊れない。
— DJホームラン (@muteit) 2015, 7月 5
楽譜が印刷されるようになる前の音楽シーンのあり方を皮膚感覚としてイメージできないように、ストリーミング型サービスが中心となって以降の音楽受容のあり方も想像できないけれど、少なくともオリコンの売り上げ数だけを見て「音楽は死んだ」だなんて言うのはやめようぜって話です。
— DJホームラン (@muteit) 2015, 7月 5
というわけで、AppleMusicなどのストリーミング型サービスを、我々リスナーは音楽への愛を維持し、高めて、共有するために大いに使っていきましょう。それによって食いっぱぐれる音楽家、潰れるレーベルやショップも出てくるだろうけれど、淘汰の先には新しい音楽受容のあり方が育つはず。
— DJホームラン (@muteit) 2015, 7月 5
この連ツイで、すべて言われてる感がありますが。
ネットが普及し、いわゆるプチクリ(©岡田☆斗司夫)が台頭。
ニコ生やようつべなどで楽曲製作&発表の閾値が下がった。
CDからダウンロード販売へと軸足が移り、しかも音楽のセールス自体がYoutubeなどの無料動画により下がった。
そして、こういう音楽定額サービスが本格化しつつある。
技術の発達により既存の価値観が変化するのは必然。
他のエンタメコンテンツを見て、映画や動画といったジャンルは、製作にノウハウや予算や手間もかかるので、商業映画やテレビコンテンツなど既存メディアとネット動画を比較すれば、やはり手作り感は否めないし、ヒカキンのようなYoutuberは動画で食えてもそれは既存のメディアと同列で比較できないコンテンツ力や物語ではなく、これまでにない新しい“ネット配信芸人”というジャンルの誕生でしかない。
海外のNetflix製作「ハウスオブカーズ」を見ればわかるように、ネット発であってもそれなりの規模の企業が商業活動として予算を使えば、手作り感で勝負しないハイクオリティな動画コンテンツは作ることができる。
6.4(水)リリース『ハウス・オブ・カード 野望の階段』トレーラー - YouTube
小説にしろ、なろうの台頭や、KDPの存在で参入の閾値が下がった。
日本で電子書籍が流行ろうが流行るまいが、電子書籍が始まり、ある程度普及すれば、その流れを止めるわけにはいかない。
何かしらのブレイクスルーがどこで起きるかなんてわかったもんじゃあない。
自動で小説を書くプログラムが発展すれば、商業作家という存在の価値自体下がるかもしれない。
官能小説ならアルゴリズムで書けるそうですが……団鬼六危うし。hon.jp
まずネット系ニュースが、アルゴリズムに移行するのがここ数年。
アルゴリズム以下のライターですら今は食えてますが、余命は短い。www.newsweekjapan.jp
パラダイムシフトにいる
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もともとライブ演奏だった音楽。
録音技術により音の一部を切り取り、一回限りの時間と空間から切り離しパッケージ販売され、録音され売られるパッケージこそが「商業音楽」の主流にとってかわった。
しかし今やそんなパッケージもなくなり、今度は「ひとつのCD」ではなく「1ヶ月なんぼ」に変化しつつある。
そうやって音楽の価値が変化したからこそ、一回性のあるライブ演奏が再び注目されるのは必然。
ひと山なんぼの世界で生きるには、参入の閾値が下がる分競争は激しくなり、いいことばかりではないですが。
新しい参入者よりもアーカイヴに優しいのが現行のシステムですし、それはもう仕方ないところ。
音源を売って利益をとるのではなく、音源の希少性(ライブ)などどこで利益をとるかってのが、これからの音楽で食っていくひとたちの考えどころになるのかもしれない。
これから10年先まで握手権付きでAKBがCDを売り続けるとは思えないですしね。
グレイトフル・デッドのやり方は、これからも通用しそうですが。
「モノ」の価値が下がり「コト」へと移行する価値観の変動の中で、音楽の定額配信による「モノ→コト」の流れも自然。
APPLE MUSICというサービス単体の成否ではなく、配信ビジネスが主流になっていくのは間違いないとこ。
体験してようやく見える風景というモノがあるし、気づけば価値観が変わってる。
今のところ出るブーイングは「自分の好きなモノがない」がメインですし、それは個人の嗜好に収束するしかない。
現在起きているような価値観の遷移を極端に勘違いし「モノを捨てるのだ」という現在しか見ないミニマリズムなんて徒花がファッションとはいえそれなりに流行ってしまう現状も、またパラダイムシフトが起こりつつあることを示してる気がしなくもない。
利用者側はそんなこと気にせずに自分に向いたコンテンツを自分に向いた方法で消費をすればいいだけなんですがね。
岩澤瞳期のSPANK HAPPYも配信にならないかなぁ……。