ゆるゆるファッションはダサいという幻想
いまさらなんだけど、服はぜんぶ自分のからだにぴったりのほうがダサくない。
雑誌なんか見ても、けっこう特殊な体形の人が多い。足が短かったりヒョロのガリだったり。身体的なコンプレックスから、服装に興味を持ってオシャレになったんじゃないかなと推測したりする。
つまり、どんな体形でもサイズが合ってさえいれば極端にダサくなったりしない。そこからは工夫次第でどうにでもなるんじゃないかな。
たしかにユルユルはダサいと思われがち。
正しくはユルユルではなく合っていないサイズ感なんですがね。
必ずしもユルければダメと言うこともない。
以下、ダサい=ゆるゆるではないと言う話。
襟ぐり
一例として、Tシャツの襟ぐり(首回り)を考えてみる。
UTmarketにて、[i hate you.]Tシャツ販売開始しました。街ですれ違う人に、特定のあの人に、爽やかに嫌悪感を訴えてみてください。http://t.co/wSDU8kZE9D pic.twitter.com/lYUE0QGZxr
— 佐伯 (@6blue_in_blue6) 2015, 8月 1
ユニクロのTシャツは基本、襟ぐりが詰まってる。
ではヘインズなんかはどうだろうか。
ヘインズは、もっと詰まってる。
襟幅も少し太いか。
身ごろもピッタリしてるし、生地感も少し重いし厚め。
今度はドメブラ(国内ブランド)を見てみるとどんな感じか。
LAD MUSICIANは、かなり襟ぐりが大きい。
襟ぐりが大きい、縁が細いとナヨッとナルシーな印象になる。
こういうのを大きめのシルエットで着るとパンクな感じ。
ただおじさんになると襟ぐりが大きいのはキツイ。
胸毛もはみ出る(襟ぐりが小さめのも出てる)。
HYSTERIC XXX(ヒスのハイエンドライン)のボウイT。
こちらの衿ぐりはそれなりに大きく、細い。
生地の柔らかさも好きなのでXXXのは結構持ってる。かなり使いやすい。
BIG T
変わってGIVENCHYのビッグT。
こちらは見ればわかるように結構詰まってる、襟幅もそこそこ太い。
ユルユルなのはボディ部分。
シルエットがズドンと真っすぐ落ちるボックスシルエットになる。
この方がマッチョなんですよね。
サイズ感と印象の話
GIVENCHYのビッグシルエットを見ればわかるんですが、身ごろのサイズ感がタイトじゃなく、ユルユルでもダサいとは限らない。
襟ぐりが詰まっている、袖丈も合ってる。
なので身ごろのサイズ感がゆるくても全体のバランスが取れる。
身ごろはユルユル、衿ぐりもダルダル。
だからおかしい。
シルエットは、ジャストサイズを選ぶ方が無難ですが、ビッグシルエットを着ることはマッチョな印象にもなる。
服が大きい→自分を大きく見せる→マッチョ
バブルの時代に肩パット入りのジャケットやダブルのスーツが流行ったのにも繋がる。
景気がいいころは、深層心理で気持ちが大きく、大きく見せたい願望が服装に現れた。
しかし景気が悪くなりサイズ感も細く、身体に合ったものになる。
アメリカのストリート系ファッションがゆるいのは服に金を使えなかったからだけれど(サイズが合わなくても着なきゃ仕方ない)、そこからズートスーツや、最近のラグジュアリーストリート(金持ちストリートファッション)に繋がっていった。
大きいサイズであれ、それも格好いい。
牽引してるのは、デザイナーも始めたKANYE WEST辺りですか。
Kanye West;Story Behind Kanye's Givenchy Kilt ...
GIVENCHYのシャツにゴツめのアクセを合わせ、ボトムスは細くて靴は大きい。
衣装ですが普段からGIVENCHY好きなんすよね、蟹江さん。
最近は、自分がデザインしたやつ着てるかもしれないけど。
ユルユルかピタピタか
もっと普段使いしやすそうな例ならFRED PERRYポロ(得意分野)。
たとえばRAF SIMONSとのコラボ。
RAFSIMONSはぴったりタイト思考なのでこれを着るなら細めにしたい(でもXSを買ったのは失敗かもしれない)。
そしてNIGEL CABOURNとのコラボ。
NIGEL CABOURNのこれは過去のアーカイヴを参照してボックスシルエットになるようデザインされてる。
なので太い。
比べてみると
ブランド | サイズ | 身幅 |
RAFSIMONS | S | 45 |
NIGEL CABOURN | 34(S) | 52 |
7cmなら胴回りで14cmの差……それはすごいな。
Nigel Cabourn x Fred Perry : Collection Printemps http://t.co/YiX9ppzyXJ #FredPerry #NigelCabourn #TrendsPeriodical pic.twitter.com/ho0UQTrrV8
— Trends Periodical (@TrendsPeriod) 2015, 4月 13
かなりゆるく着てる↑
じゃあNIGEL CABOURNがダサいか?と言うと、違う。
そういうことじゃあない。
ダサいのはダサく見えないお手軽な方法
Maison Kitsune S/S 2015 NYFW Presentation ...
Youtube辺りにコレクションやインスタレーションの動画が山ほど転がってるんだから、それを見れば今はどういうのが流行りなのか解る。調べる手段は山ほどある。
でも自分で調べることをサボり
「どうすればダサく見えないか、手軽な方法を知りたい」
お手軽欲求が、無数の薄っぺらいファッション指南を産む。
「貧乏だけど、金持ちに見える方法教えて」
「本は読んでないけど、読書家のフリを出来る方法教えて」
みたいな(バーナード嬢的)。
ダサいのは本当なんだから、ダサくても仕方ないのに。
インスタントな「ファッションなんて興味ないけどダサくは見られたくない」願望自体が矛盾してる。
興味がないからダサいのであって、ダサくない格好をしたところで、どこぞの「家族改造計画」みたいにいなるのがオチ。
自分がこだわってるものに関してなら「上辺だけで薄っぺらい」ことを非難するのに、ファッションだけはお手軽に上っ面でいいと思ってる。
だから、それがダサさの根本。
ファッションのBOOTSTRAPは、お手軽だけどそれ以上でも以下でもない。
仮に、実用性もあるお手軽なBOOTSTRAPを考えるなら、
・身体に合ったサイズを着よう
・合わせ方に気を遣おう(小物も含め)
・色は合わせ過ぎず外し過ぎず
・コードを外し過ぎないようにしよう
とりま大項目は、こんな感じじゃないかしら。
漠然としてるが、漠然としてるから広いし難度が深い。
オシャレは言いかえれば“こだわり”なんだからお手軽って時点でおかしい。
ユニクロでもスーピマコットンTは着心地いいし、使い方次第。
プリントTも最近はNIGO®監修で使えそうなのが増えた。
ユニクロ=ダサいは違うけど、ユニクロであれ合わせ方次第。
今度のクリストフ・ルメール(元ラコステ、エルメス デザイナー)とのコラボラインは買うつもりですしおすし。
ゆるいからダサいなんて幻想のテンプレ―ト。
気を使わず、興味もなく、サイズも合わない安物のくたびれた服を合わせそこねてるからダサい。
ダサいのは「○○すればダサくない」お手軽金科玉条を信じてしまうこと、そのもの。
お手軽ファッション教則本も山ほど出てるなぁ……。
「成功者はなぜ長財布を使うのか?」くらいの信頼性。
……オシャレポルノとでも呼ぶか。
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