今だからこそスタートレックTNGの魅力を
スターウォーズが連日話題なので、ここではあえてスタートレックを話題にしたい。
一推しは、ドラマシリーズとしての完成度が高くトンデモなスタートレックTNG(TheNextGeneration)
アメリカで87~94にかけ全7シーズン放送された(今ならCS スーパー!ドラマTVで放送中)。
24世紀、ジャン・リュック・ピカード艦長の指揮のもと宇宙探索に旅立つ宇宙艦エンタープライズ、未知の存在との交流や危機に立ち向かう乗員らの姿を描くドラマシリーズ。
長いシリーズの中からいくつかピックアップ(さすがに長いので覚えているものから)*1。
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ホロデッキ
スタートレックは長期航海を行い、宇宙の謎を探る。
しかし乗務員は、長期航海に際して艦内という閉塞空間に閉じ込められることになる。
そこで乗務員のメンタルヘルス対策に立体映像を映すホロデッキが備え付けられている。
ホロデッキは立体映像を映せる空間で、そこに入ればさまざまな世界を楽しむことができる。
エンタープライズ号の高性能なメインコンピューターによってホロデッキは望む空間に変化する。
だから乗務員が西部劇を望めば西部劇になるし(ホロデッキ・イン・ザ・ウエストなど)、推理劇を望めば推理劇になる(宇宙空間の名探偵など)。
Star Trek STNG Moments 29 Elementary, Dear Data
あるとき、アンドロイドのデータが、シャーロックホームズになりきってホロデッキにいた。
しかしデータがあっさり事件を見抜いてしまう(超高性能アンドロイドなので)ことに乗務員は「データに負けない敵を登場させろ」とメインコンピューターに指示を出す。
ホロデッキで始まる新しい事件、登場するモリアーティ。しかしホログラムのモリアーティは、ホロデッキを含むエンタープライズ号ごと乗っ取ろうと企む(ホログラムデッキの反逆者/Elementary, Dear Data)。
ホロデッキの虚構の存在がエンタープライズという現実を侵食しようとするメタ回。
このホロデッキの存在が、長いスタートレックのシリーズに変化を与える。
毎回宇宙空間や惑星が舞台ではなく、時折現代劇や西部劇になったりするのは視聴者にも変化がある(ホロデッキに権限与えすぎ&暴走しすぎだが)。
ループする
スタートレックNGにはループ回がある。
エンタープライズ号は航海途中、ワープエンジンの不調に見舞われ、大爆発を起こす。
乗員らがポーカーをしている。
センサーが異常を感知、すると超空間から別の宇宙船が出現しエンタープライズ号に追突。
大爆発を起こした。
乗員らがポーカーをしている。
しかしデジャヴュのように既視感がある。
そしてセンサーが異常を感知、超空間から別の宇宙船が出現しエンタープライズ号に追突。
大爆発を起こした。
乗員らがポーカーをしている。
しかしデジャヴュのように既視感がある……(恐怖の宇宙時間連続体/Cause and Effect)。
というお話。
徐々に差分が生じるが、時間が延々戻ってしまうため危機を乗り越えるための方法を過去に伝えなければならないのだが、これが難しい。
多くドラマはあるけれど、何でもありだからと言って突然ループ回をやってしまうTNG。
パラレる
クリンゴンのウォーフが、シャトルでエンタープライズ号に帰還する。
スポーツ競技で優勝したトロフィーを持って。
誕生日だったウォーフのサプライズパーティが開かれる。
しかし憮然としたクリンゴンのウォーフは相変わらずの無表情。
デッキに立つデータとウォーフ。
ウォーフがめまいを起こし、倒れそうになる。支えるラフォージ。
先ほどまでいたデータがいない。
スポーツ競技で少し負傷したせいかもしれない。
自室に帰るとそこに9位のトロフィーがあって……(無限のパラレル・ワールド/Parallels)
クリンゴンのウォーフの世界が、最初めまいと見せつつ、現実が少しづつ変わっていくというパラレルワールドを絡めたストーリー。
量子宇宙の間をスライドするというアイデアはSFならでは。
泣ける
Star Trek: The Next Generation - S5E25 The Inner Light (1992)
泣ける話もある。
あるとき、エンタープライズ号の前に古びた探査機が漂ってくる。
そこから照射される光線。
ピカード艦長が気を失い、気づくと見知らぬ惑星。
そこでピカードは、別の名前で呼ばれ妻がいて子供がいる。
一方、エンタープライズ号では艦長を医務室に運び、意識を失っている原因が探査機であることがわかる。しかし光線を阻害すると艦長の心臓が止まってしまうため対処ができない。
ピカードは、惑星での生活に慣れすっかり新たな人生を歩んでいる。もう既に何年も経つ。
船と時間の流れが異なる。
星は貧しいが、子供は成長していく……(超時空惑星カターン/The Inner Light)。
いわゆる胡蝶の夢。
この話は当時、アメリカのSFに与えられるヒューゴー賞を93年に受賞してる。
最後に
スタートレックは、スターウォーズとは違い低予算ドラマのため、ラメの化粧だけでアンドロイドと言い張るし、耳が尖っていればバルカン人だったりロミュラン人だったりするし、ヘンテコなパイプを付ければ機械生命体ボーグにだってなる。
JJエイブラムスがスタートレックの劇場版を撮ったけれど、やはりテレビシリーズのチープな感じを求めるなら「ジェネレーションズ」に始まるTNG四部作が好きだったり。
新シリーズは洗練され過ぎてる感じが……。
TNGは、ピカード艦長とデータのキャラ立ちが素晴らしい。
来年には「スター・トレック ビヨンド」という新作の上映も決定(予告↓)。
監督はワイルドスピードのジャスティン・リン、出演してるサイモン・ペッグが脚本にも参加してるらしい(製作はやはりJJエイブラムス)。
これは期待できるかもしれない。
*1:ちなみにヴォイジャーの途中くらいまで全話観てる