世界で最も危険な街を描いたドキュメンタリー「皆殺しのバラッド メキシコ麻薬戦争の光と闇」
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メキシコを舞台に麻薬をめぐる光と闇を描くドキュメンタリー。
「戦争地帯を除くと世界で最も危険な都市」と言われるメキシコのシウダー・フアレス*1。
麻薬カルテル同士の抗争によって5年間で4万7千人が死亡している*2。
そんな街で麻薬事件を捜査する警察官のリチ・ソト。
しかし科学捜査を行ってもその証拠は使われることなく闇に葬られ、ひたすら死体と仲間の死とに向かい合う日々が続く。
“ナルコ・コリード”という音楽がある。
メキシコで人気を誇る音楽ジャンル。
麻薬で儲けるギャングを主人公に、まるでヒーローであるかのように称える。
そんなナルコ・リード歌手のエドガー・キンテロ。
キンテロの歌を聴き「ギャングは格好いい」「将来は結婚したい」「自分もギャングになりたい」という子供ら。
そして自分の子供が抗争の中、首を切り落とされた母親は嘆き悲しむ。
裏取引をしていた汚職警官はギャングによって制裁を受けその動画が配信される。
「今日辞めないとお前を殺す」と脅された警察官は職を離れ街を去る。
普通のドキュメンタリー映画だと「光と闇」は「警察と犯罪者」
けれど、この映画の場合「光」がナルコリードを歌い称賛されるキンテロで、証拠を集め捜査しても報わず命の危険を感じ生きる警察官ソトが「闇」
シウダー・フアレスでは、ギャングこそが光。
モザイク一切なしで死体が山ほど出てくるので、そういうのが苦手な人は注意した方がいいのだけれど(苦手ならそもそも見ないかもしれないが)ドラッグ、銃、死体が隠されることなく登場する。
ギャングを称賛する方が人生を謳歌し、正義に生きる警察官は同僚の死に遭い自分の安全も保障されないというのは実に皮肉なもの。
とはいえギャングに深くかかわるといろいろ面倒だろうし、「麻薬は人生を狂わせるから駄目だ」と言っていたキンテロが、ごく普通に麻薬に手を出してる辺りもなんだかなぁ、と。
ドラマ「ナルコス」なんかを観ていた人にはお馴染みの世界。
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*1:現在では“世界で二番目に危険な街”だそう