@sukiyaki_03 番組の前からメディアを通じて少しは耳にしていましたが、ぼくは全く評価できません。先入観ではありません。あんなまがい物によって日本が評価されるなら本当に世も末だと思います。
— Peter Barakan (@pbarakan) 2016年4月25日
バラカン氏のこのツイート(及びラジオでの発言)が、かなり燃え上がっているらしいが、実に氏らしいというか、逆にバラカン氏が「日本のアイドルとはですね……」などと語りだしてしまうとそれこそ世も末感がすごいのでバラカン氏にはアンチの立場を保っていただきたいなーと思う。
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チームプレイ
バスツアーがドイヒーでお馴染み二人組アイドル おやすみホログラムのセカンドアルバム「2」を最近ずっと聴いてる。
おやすみホログラムは「オルタナロックmeetsパフィー」だと思っていただければ当たらずとも遠からずな二人組で、特に今回の「2」では既視感アリアリのオルタナな音を鳴らしてる。
既視感というのは「あれ?これってアン○ーワールド?しかもボーン・○リッピー?」とか「椎名○檎だな」とか「はいはい、ニルヴァー○ね」とか、既存のオルタナロック的ないい感じの音をごちゃ混ぜにして再構築したトラックに気だるげでそこそこヘタっぴなボーカルがそこそこいい感じに合っている。
もともとロックは上手な歌のジャンルではない。
同じく歌唱力を必ずしも問わないアイドルとの親和性は高い。
トラックさえしっかりしていれば聞ける。
一方、せのしすたぁのライブを見てるともはやパンクロックのそれと大して変わらない。
お前らどこにいるんだよ、と(ファンに埋もれてる……)。
トラックはブリブリのアイドルソングなんですけどね。
このパフォーマンスとの落差がすごい。
下北シェルターなんてギターウルフ以来行ってないっけ。
わかりやすいギターロックに乗っけた下手だがクセになるボーカルのベルリン少女ハート(メンバー脱退多すぎ)は、歌がヘタで向上しないところに魅力を感じさせるんだから世の中深い。
代わりに向上しないなら延々と無間地獄にしか思えないが。
どれも拙く、どれも薄っぺらい。
でも面白い。
徒花
録音された音に合わせて歌うという歌と音(伴奏)の乖離はある種の劣等として扱われる。
生演奏こそが至上であって、録音は二流だと。
生演奏のバンドがほんものであって、録音に合わせて歌うなんてカラオケと変わらない偽物だ。
そういう「同空間において同時性を持つ音が鳴らされること」に対しての評価というのはやはり根強い。
だから作詞も作曲も演奏もしないアイドルは永遠にまがい物。
歌唱力を向上させセットを豪華に、パフォーマンスをレベルアップすればエンターテイナーとして認められることもあるが、なかなか成功は難しい。
アイドルがミュージシャンやSSWと呼ばれる上級職へクラスチェンジするには、自分自身で楽曲を作り自分で演奏する必要がある。
チェッカーズ時代はアイドル扱いされていた藤井フミヤは、演奏や作詞作曲をすることでミュージシャン(と呼ばれるポジション)へと移行した。
ジャンク
ベビーメタルはメタルのトラックにアイドルを混ぜ込んだ。
メタル人口は世界的にも多く潜在的なファンもベビメタによって呼び覚まされた感がある。
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かつての松田聖子や郷ひろみの頃のアイドルと現代のアイドルは異なる存在。
現代のアイドルは既存の音楽をトラックとして仕掛けるプロデューサーと表で踊る少女のチームであって、搦手の音楽、時代の徒花。
これから10年20年残るような歌を歌っているわけじゃない。
かつてはロックンロールが担った享楽的な側面を、今はアイドルが担っているというだけ。
ひと昔前ならギターを手に取りバンドへ流れた音楽好きらが、今やアイドルの後ろで自分の趣味満載のトラックを流し、それに合わせてアイドルを目指す女の子を踊らせている図式。
音楽シーンは盛り下がり、音楽離れが進み、売り上げが落ち、今やSSWもバンドも世に出るには難しい。
だからこそ常に固定ファンのいるアイドル界が盛況になるのは必然。
昔ならパンクにハマった少年が今はアイドルのパンクにハマり、ロックで踊るアイドルやアイドルのDTMでテクノに目覚める。
もともとロックだって正統なものじゃあなかった。
商業主義に走り愛だの恋だの歌うバンドのどこがロックなんだか。
単なるポップソングバンドじゃないかと。
アイドルブームがこれからどれだけ続くのかわからないけれど、バラカン氏がいう「まがいもの」という指摘はそれほど外れているとは思えない。
とまれバラカン氏のいう正統な音楽がどんなもんかといえば、まぁ。
バラカン氏のような頑迷なご意見番もいていいと思うし氏に理解できなくていい。
理解できない音を鳴らしているからこそ面白いんだから。
まがい物だからこそ見ていて楽しく面白い。
ノエル・ギャラガーが映画の中でアイドルに辟易してたのが懐かしい。
それに海外にアイドルを紹介されてもコンテクストが違うんだからどう読まれるかもわからない(ベビメタの場合はそれがハマったが)。
だからアイドルを「日本の音楽」と紹介されるのは確かになんだかなぁという感じかもしれない。
まぁ、全てが全て立派な料理でなくていいのと同じ。
ジャンクフードだって美味い。
栄養もないし、身体に悪いけど。
最後にゆるめるモ!貼っておきますね。
【参考】
azanaerunawano5to4.hatenablog.com
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