BSで放送していた「ようこそトランプワールドへ」というドキュメンタリー番組が面白かった。
今さらですが、軽く。
2016年の大統領選挙前。
フランスのジャーナリストが、アメリカの中でもトランプ支持者が多い土地を巡って支持者にトランプを支持する理由を聞いていく。
「トランプを支持する理由は?」
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デトロイト
まずはリーマンショック以降、財政が悪化したデトロイト。
行進をする組合員の男性
「組合員は民主党支持と決まっているが、今年は大勢が共和党を支持している」
「二人共ひどいけどマシな方を選ぶ」
のが本音らしい。
さらにトランプを支持する何でも屋(配管工、運転手etc……)の男性。
トランプが、性的マイノリティを支援するか?という質問には
「もちろんだ、彼が司会をするバラエティ番組には、同性愛者が出演しているからね」
メキシコとの壁を手伝いたい、壁がないならドローンで監視すればいい。
不法移民が減れば仕事が増えると語る。
最低賃金で働く女性は「今の7ドルの賃金をトランプは10ドルか11ドルには引き上げてくれる」「クリントンは嫌い。嘘つき。バーニー・サンダースなら投票してたのに」がトランプ支持の理由だそう。
★仕事・賃金
ミシガン州ディアボーン
レバノンからの難民。
イスラム教徒の男性。
「イスラム教徒のコミュニティを支援してくれる」「ISを一掃してくれる」のでトランプを支持するという。
しかしそんな男性のところで働くメキシコ系移民の男性は吐き捨てる。
「(トランプは)全然ダメ!彼はヒスパニック系もイスラム系もみんな嫌いで好きなのは白人だけ」
予備選ではイスラム教徒の半数はユダヤ教のサンダースに投票したのだそうで。
★テロ対策
クリーブランド
催涙スプレーをもち防弾チョッキを着る、元退役軍人のトランプ支持のバイカー軍団。
イスラム過激派に対抗できる強いリーダー、つまりトランプを支持するという。
ちなみに1ドルで、近辺で犯罪を犯した人物の顔写真新聞を売ってるらしい。
★力強いリーダー
ナッシュビル
農家が中心、保守的、8割が白人のテネシー州。
テンガロンハットでトランプ支持を歌う歌手の男性にインタビュー。
娘のために金が必要だが、もう金が借りられそうにない。
だから政府が変わってもらわないと困る。
オバマに期待したが債務を抱えてしまった。
「彼と話したことがあるんですが、目と目を合わせて確信したんです、彼なら間違いないって」
「トランプは本音を言っている。他の政治家は本音を言わないからトランプは信用できる」
と彼の妻。
「我々に必要なのは政治家じゃない。ビジネスマンなんんだ」
★政治に変化が必要
プラスキ
テネシー州プラスキ。
白人至上主義KKKの発祥の地。
KKKはトランプ支持を訴えている。
「政策を全部聞いたわけじゃない、メキシコとの国境に壁を作るのはいい。どうやってカネを払わせるかは疑問だが」
「トランプは(外国人と結婚しているので)人種差別主義者ではない。だが消去法でトランプしかいない」
と語るKKKのメンバー。
★消去法で支持
ジャクソン
もっとも信心深いミシシッピ州ジャクソン。
ラジオをかけると流れるのはキリスト教系ラジオ。
「トランプのほうが倫理観がある」
「トランプは人工中絶反対だから支持。ヒラリーは人工中絶を認めているので支持しない」
と語る女性。
その友人は、
「黒人の家は民主党支持者が多く、白人の家は代々、共和党支持者が多い。だからヒラリ-には投票しない」
「トランプがキリスト教徒に何をしてくれるのかは、わかりませんけど」
と語る。
★人工中絶反対なので支持
フォートマイヤーズ
銃の街フォートマイヤーズ。
「ヒラリーは憲法修正第二条に反対しているので支持しない」
家賃収入で暮らす老夫婦は
「政治家は政府の金を使うが、トランプは自分の金を使っている」
と言う。
★銃問題
フロリダ
人口の6割がヒスパニック系のフロリダ。
キューバ系の半数がトランプ支持を表明している。
「オバマは社会主義者だから嫌い」
「以前は仕事があったのに生産拠点がメキシコに移って仕事を失った」
「自分はヒスパニック系だがトランプの発言は腹立たしく思わない。(不法移民が犯罪を起こすのは)本当のことだから」
と語るキューバ系男性。
★仕事口
キリスト教国家
Ark Encounter Promo, August 2016
様々な理由でトランプを支持する人々。
その理由は千差万別。
全ての政策を鑑みた上で支持するなんて人よりも、わかりやすい一点で判断して支持してる人の方が圧倒的に多い。
ジャクソンは、面白かった。
進化論を否定してキリスト教的な教育が正しいとのたまい、学校教育はキリスト教に反すると憤る。
まぁ、そりゃあそうなんだが。
元々そういう国だし、全国民の半数は未だ進化論を信じていないともいう。
先日も原寸大(?)の方舟を再現(?)したアーク・エンカウンターというテーマパークも先日オープンした。
遠く離れた日本でもアメリカはキリスト教の国だ、ということを理解はしていても、その信仰がこれほど根深いというのは、あまり伝わってこない。
人工中絶を支持するヒラリーの方がリアリスト的だが、それだと一部団体の支持は受けられない。
ただ、これだとバーニー・サンダースもですがね。
「トランプを支持する層は○○だ」というマクロな話はよくでるが、こうやって各地を転々と移動してミクロな視点で支持者の意見を聞く番組というのはあまりなかったので興味深い。
イスラム系でトランプ支持の理由が「IS対策をしてくれるから」というのは実際聞いてわかる見方。
KKKの男性にインタビューするというのも面白かった。
ともかくヒラリー嫌われ過ぎ。
ヒラリーを立てたために、上と下の構図が明確になったのも大きかったかもしれない(だからってサンダースを立てるわけにもいかなかったろうが)。
報道ではトランプが悪そうなバイアスも強かったが(実際、善人ではないだろうが)、こうやって現地の(偏った)声を観てもヒラリーは負けるべく理由があった上で負けたのが見える。
今はまだ景気の波に乗っているので「トランプ支持してよかったー」という感じでしょうが。アメリカの事情は、他人事でいたいなぁ(希望的観測)。
講談社
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