二作目のジレンマ 映画「ジョン・ウィック:チャプター2」

続編は難しい。
ましてや一作目が名作の場合は。

寿司屋の2代目が常連客に「親父さんの味に追いつけるように頑張るんだぞ」と言われてしまうように、二作目、続編はどうしても一作目と比較をされてしまう。
同じことをやるとマンネリ・ネタ切れと言われ、違うことをやりすぎるとコレジャナイと言われる。
一作目の要素を生かしつつ、二作目なりの新しい挑戦をしなければならない。
ジェームズ・キャメロンは二作目を作るのが上手い。
一作目がSFホラーだった「エイリアン」の二作目ではホラー要素を踏まえつつアクション要素を入れ込みヒットさせ、こちらもSFホラーだった「ターミネーター」の二作目では善悪を逆転させ、当時既にスターになっていたシュワルツェネッガーを敵ではなく味方として描きヒットさせた。

だが「ジョン・ウィック」の続編「ジョン・ウィック:チャプター2」は、やはり二作目のジレンマから逃れられなかった。



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目的

伝説の殺し屋ジョン・ウィックによる壮絶な復讐劇から5日後-。彼のもとにイタリアン・マフィアのサンティーノが姉殺しの依頼にやってくる。しかし平穏な隠居生活を望むジョンは彼の依頼を一蹴、サンティーノの怒りを買い、思い出の詰まった家をバズーカで破壊されてしまう。愛犬と共に一命をとりとめたジョンはサンティーノへの復讐を開始するが、命の危険を感じたサンティーノに7億円の懸賞金を懸けられ、全世界の殺し屋に命を狙われることになる。

引退した伝説の殺し屋が(犬の)復讐のために復活する一作目の5日後の設定。
「引退したって言ってたけどやっぱり現役じゃね、だったら仕事引き受けろよ」とマフィアの依頼を引き受ける羽目に陥るキアヌ。
仕方なしに暗殺するが、狡兎死して良狗烹らるの故事通り邪魔になったキアヌを抹殺するべく賞金をかけるマフィアボス。

前作では明確に「復讐」という目的があったにも関わらず、今作では仕方なしに暗殺をやる羽目に陥り、それを達成したらしたで今度は命を狙われ、降りかかる火の粉を払うしかなくなる。
結局、キアヌは暗殺者連中を退けても、マフィアのボスを殺しても、その先に平和とか引退があるわけもない。

戦っているんだがそこに明確な目的がない。
降りかかる火の粉を払い、引退にしたいならそれこそ逃げるしかない。
でも戦うならやっぱり現役引退はしてないってことになる。
 
 

引退体験

殺し屋の引退ってのは、だから誰にも見つからないよう田舎で隠遁する。
闇の業界で「あそこにいる殺し屋には近づくなよ」と知られたまま現役時代と同じ家に住んでいれば、当然色々と業界の人間がやってくるし、巻き込まれるのは自業自得。

だからキアヌは、「引退した」と言いつつ引退しようという姿勢があまりなく、要はOLの滝修行みたいに引退体験したいだけにしか見えない。
ストーリーが今ひとつはまらないのは、最初に半端に仕事を引き受け達成してしまうからで、だったら最初っから跳ね除けて徹底的に戦う方が筋が通ってた。
なのに「一応仕事はやったけど依頼主が気に食わない」みたいな展開になるからどうもモヤっとする。

アクション

アクションは、おなじみガン=カタっぽい近接戦闘+銃撃。
システマを取り込んだ、という話がまた(公式にも)載ってるが

監督のインタビューに柔術や柔道の話は出てくるんですけどね。
確かに腕絡みからの投げというのはシステマにもあるらしいが、柔術でも定番の動きなわけで。

だから「このアクションにはロシアのシステマが使われてるんです!」と掲げるのにはモヤる。
システマといえばそうかもしれないがそうじゃないといえばそうかもしれない、くらいの感じ。
柔術なんかを中心に据えたマーシャルアーツ、くらいが妥当。

なんつーか、先日見た「アトミック・ブロンド」のシャーリーズ・セロンのアクションが素晴らしすぎて、どうしてもキアヌの動きが映画的で重く見えてしまう。
アトミック〜の息もつかせぬ長回しからすると、雨よけみたいに防弾スーツで身を守ったりするあの動きは、フィクションさが過ぎる(どちらもフィクションだとはいえ。仮にフィクションである面白さを強調するならバーフバリくらい大袈裟で現実にありえないアクションの方が面白いわけですよ)。
銃撃+アクションなので仕方ないですが。

最後に

と、いろいろ書いたが基本面白く見れる。
一作目が良かっただけで、B級映画としてはかなり上質。
ツッコミどころは多いが、しょーもない生ぬるい恋愛映画を10本映画見るならジョン・ウィックを観た方がよほどいい。

人気だからか、ネタ切れだからか三作目も2019年公開だそうですが。
なんだかキアヌがウェズリースナイプス化していってる気がしなくも……。

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