映画「翔んで埼玉」を埼玉県入間市のシネコンで観た

翔んで埼玉 Kindle版 魔夜峰央 (著)

県民性

日本人に限ったことかどうかは定かではないが、「あなたは〇〇です」と決めつけられるのが好きで、血液型性格判断なんてのもそのうちの一つだろうが、県民性というやつも同じく、「京都出身は外面はいいが腹黒い」みたいなテンプレに当てはまる、当てはめることを楽しむ思考というのはある。
だからこそ「秘密のケンミンSHOW」のような番組は長寿番組として地位を得、「大阪人はお好み焼きをおかずにご飯を食べる」みたいなあるあるネタを繰り返し続ける。

それはともかくとして魔夜峰央原作「翔んで埼玉」を埼玉県入間市シネコンで観てきた。

以前、映画「クローズ」を歌舞伎町の映画館で見たとき周囲はホンモノのヤンキーだらけ。
「作品が描いているのと同じ属性の人たち」に混ざって見る映画は一味違うというのが経験則。
立川や渋谷で見てもこの感覚は味わえない。
池袋は、ほぼほぼ埼玉なのでありだろうが。

「翔んで埼玉」でもやはり埼玉県民だからこそわかるネタがちらほらあって、そういうあるある部分がやたらとウケる。
「美味い美味すぎる」十万石まんじゅうだとか、山田うどんだとか。
「三割美味い」ぎょうざの満州が出てこなかったのが少し寂しかったが。

とはいえ、どちらかといえば同じ「さいたま」でも所沢に近い入間より、ひらがなさいたまの中心である浦和か大宮で見た方が映画にフィットしていたかもしれない。

現実と非現実

www.tondesaitama.com

基本、面白かったですよ。
小ネタ満載、まさにケンミンSHOW。
原作と違いブラザートム麻生久美子ぱるるの車の車内で聞くラジオ(NACK5)とラジオで描かれるさいたまが差別される世界線パラレルワールドであって都市伝説というレベルではないと思うが)を同時並行で描き、ひたすら暑い熊谷やチバラギと言われ麻生久美子がブチギレるなど現実世界の状況も同時に描かれる。
そして、やたらと見切れるカカシの看板。

魔夜峰央の耽美な世界を実写にするならGACKTになってしまうんだろう。
仮にバンコランも実写にするならGACKTかもしれない(パタリロ加藤諒か。。。)。
「利き空気」や大河ドラマっぽい部分もGACKTを意識して入られた要素。
どうせなら利き仮想通貨でもやttenhleuhrol;kfzxmlkoaissslhf


さて。
面白いという感想は皆が書いているだろうから、ここではあえて気になった部分を書いてみる。


まずCMでも使われていた河ごしの千葉vsさいたまの有名人出身地対決。
千葉が真木よう子桐谷美玲を横断幕に出すとさいたまは反町隆史竹野内豊を出す、といったくだり。

あの世界線では「埼玉県民は出身地だけで差別される」のだからそもそも有名人になっているというのがおかしい。
ここ数年、英国で上流階級出身の役者ばかりがもてはやされるのが話題になっているが、「さいたまと口にするだけで口が汚れる」とまで差別される埼玉出身の俳優がドラマで主演を演じたとして、その番組があの世界線で果たして視聴率を取れるだろうか。
「さいたまが差別される」世界線においてあの川越しの対決のシーンだけが、なぜか現実の世界線パラダイムになっている気がする。

お前は先に行け

そして都庁への突撃シーン。
時折、モブシーンとして東京マラソンの映像が挟み込まれるのは予算の都合かもしれないが、さすがに終盤のシリアスな展開でランナーが見えてしまうのは「うーん?」と首をひねってしまう。

さらにGACKT行かせるために「ここは俺に任せてお前は先に行け!」というよくある展開。
伊勢谷などが敵を引きつけGACKTを先に行かせようとするんだが、その周囲をビュンビュン人が走っていく。
いやいや、その脇を走っていく連中がまず他の敵を止めておけば伊勢谷とGACKTが行けるのでは。。。。

そして途中で「お前は先に行け!」と言ってる割に最終的にはみんな揃って都庁にたどり着いてしまう。
え?
途中で味方が力尽きて、GACKTだけがその味方の屍を超えてたどり着くのでは。。。。
なんで「お前は先に行け!」をやってた人らもみんな辿り着くのかね。
あぁいうテキトーさも「ここは俺が食い止める!お前は先に行け!」をやりたかっただけなのではないかという疑問。
少しはパロムとポロムを見習ってほしい。

そもそもさいたま側の作戦はいわゆるハングマン方式なのだから別にゴールが都庁である必要はない。
それこそモニターに都知事室の様子を生中継させる方がよほどハングマン方式になったろうに、なぜ怪文書なのか。

あとさいたまが都庁に向けて進軍してくるならやはり、高田馬場BIGBOXとか、椎名町とか、西武新宿ペペに拠点を築いたり、あるいはもっと手前の荒川を挟んで赤羽あたりに防衛線を張ってる方がいいと思うのだが、相模川でやってしまうというのはどうしても違和感がある。
「しまった!ぺぺからサブナードを突破するとは!?福家書店の防衛班はどうした!!」
とか。
河→都庁手前、なので「え?え?途中はどうなったの??」とあの展開が急すぎ。


さらにさいたまのその後の展開をいくつもやってしまうところが、冗長。
トムと麻生久美子らの車の遠景(山田うどんが映る)で終わるか、NACK5のスタジオで終わってるのが一番綺麗だった気がするんだが。
あの辺はさすがに埼玉県民にもスベってた。

憧れの中目黒

誰に言われたか」で埼玉県民の受け取り方が変わっています。東京都民と神奈川県民からの「ださいたま」はカチンときた率30%以下なのに対して、千葉県民から言われると41.7%、群馬・栃木・茨城の北関東3県民から言われると、50%に迫る割合の埼玉県民がカチンときていました。
【埼玉】「ださいたま」に対する埼玉県民の反応 相手が何県民かで反応に違いが! | at home VOX(アットホームボックス)

埼玉に住むのはダサい、と言われてしまうのかもしれないが、だからと言って歌舞伎町に住みたいか、という。
劇中ではぱるるが中目黒に家を建てることに憧れてるが、中目って住みやすいか?と言われるとさてどうだろう。
以前、猿楽町に住んでる知り合いに住みごこちを聞いたが「通勤はしやすいが物価は高いし、どこも人が多い」という回答で、そりゃあそうだろう。
恵比寿や中目黒なんて響きはいいが、実際住むとなるとさいたまの方が気楽でいいと思うのだが。
若い頃は「憧れの東京!」かもしれないが、それなりに色々見てくるとわざわざ物価が高くて空気の悪い都内で、桜並木を見に山ほど人が押し寄せるようなところに家を建てるなんて。


千葉県民に「ださいたま」といわれるとイラっとする埼玉県民。
ディズニーランドがあるからとドヤ顔されていたが、飯能のムーミンバレーパークで見返せるかどうか。
西武線も新型特急LaViewを投入し、気合いも入ってる様子。

さいたまがひたすらディスられるなら面白くもないだろうが、この映画は「差別される人々が不条理な差別に立ち向かう」物語だからこそ救われる。

とはいえ敵が姿の見える都知事に集約されてしまうのは、問題のすり替えにも思えた。
差別意識というのは本来人の中に広く根付くもの。
都政が変わる、だからと言って果たしてさいたまに対する差別意識が取り除かれるか?
あの「さいたまと口にするだけで失神する人々」が都政が変わったからといって受け入れるか。
それはまた別の物語になるんだろう。


ところで、この映画、関東(在住)以外の人が見ても、小ネタ面白いんだろうか?
自分の場合、京都出身だが、もう関東に住んで10年以上なので、十万石まんじゅうだってわかるし、カレーには豚肉だとか、チャーハンに刻んだナルトが入ってたって違和感はない。
ケンミンSHOWのさいたま特集みたいなものだと思えばいいのかもしれないが。


翔んで埼玉 Kindle版 魔夜峰央 (著)