映画「カメラを止めるな!」の感想(ネタバレを気にしない人向け)

レンタルで借りるつもりだった「カメラを止めるな!」が予想外に地上波で放送するということで観てみた。
観ながら思った「これってアレだよねー」などと書いてみたい。

ただし以下で述べて行くネタバレというのは「カメラを止めるな!」という作品のネタバレと、並行してそれ以外の関連する(同じ構造を持つ)某作品のネタバレでもあります。
ご了承ください。


何も「カメラを止めるな!」のネタバレだけとは言ってない。



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ネタバレあり

さて、まず「カメラを止めるな!」という作品自体はとてもB級(ホラー、スプラッター)映画愛に溢れた作品。

その辺りも評価が高く、言ってみればレンタル屋のホラー棚でホコリを被ってるようなクオリティの駄ホラー(よほどのホラー好きでも滅多に名前の出ないデビルスピークみたいな)を再現してる辺りにある。

予算的に自然とそうなったのか、それとも狙ったのか。
前半の安っぽさとか、作りの荒さとか、手ブレ満載だとか、そういうところもひっくるめた上でのB級(低予算)さがキモだと思う。

カメラマンの足が見切れようが、脈絡なく登場人物が出てきたり、(伏線だけとも言えないような)無駄に冗長な部分があったり。
だから見ている人の一部で「前半が苦痛だ」という声が上がるのも当然のこと。
名前を聞いたこともないような低予算スプラッターとかイタリアンホラーとか見てみれば「あぁ、なるほどこれを再現してたのか」ってわかるんじゃないですかね。


どちらにしろB級映画な(作中作)の前半とその伏線回収となる後半という「一つの作品の中で折り返す」二重の構造は、名作「サマータイムマシンブルース」のそれと似ている。
ツイッターで検索したところ何人か同じことをツイートしている人もいたので誰しも考えることは似たようなもの。

STMB

真夏にエアコンのリモコンが壊れた事件をめぐり、タイムマシンを使い過去に未来に飛び回るコメディの傑作「サマータイムマシンブルース
この作品の場合、途中からタイムマシンが登場し過去(映画でいうと前半の時間軸)にさかのぼることで前半描かれた謎の伏線を後半で回収して行くのが構造。
この辺りのやり方は「カメラを止めるな」でも使われた手法。

パクリだとか言いたい人も多いだろうが、そもそも「サマータイムマシンブルース」並みの伏線回収劇というのは脚本としても難易度が高く、だからフォロワーが少ない。
サマータイムマシンブルース」と同じような構造というだけでも素晴らしい。
さらに生放送に合わせてシナリオが変化していく、という部分では三谷幸喜ラヂオの時間」との相似も気になるところ。
こちらはワンカットに拘るあたりも影響かも知れない。
これらは「似ているからダメだ」ではない。


映画愛

言われるがまま、事なかれ主義の監督が生放送の現場で、追い詰められて覚醒。
普段は影で支えていた妻は暴走し、父親にも父親の作品にも興味のなかった娘は土壇場になって父の作品を支える。
そういう家族再生の一面もある。

そして「カメラを止めるな!」で一番重要なのは、映画(作品)愛だろう。

作中、誰も観ていない(とプロデューサーが言ってしまう)ゾンビ専門チャンネルの開局記念生放送ホラーに対してであっても、本気で向き合う監督やスタッフの思い。
これは、同時に誰が観るのかに関係なく撮影された、この「カメラを止めるな」という映画自体との相似系でもある。

スターが出るわけでもないし、金があるわけでもない、宣伝されるわけでもない。
金がないからこそ情熱とアイデアで勝負する。
300万円で撮影され小さな映画館でだけ放映される小さな映画。

こう言った多くの短館系の作品は陽の目を見ることもなく、パッケージにすらならなず消えていくだけ。
この映画だってそうなるかも知れなかった。

だがこの作品は運良く日の目をみることになったし、テレビのゴールデンで放送されるまでになった。
バジェットに関係なく、作品に対して愛を持って撮っている。

いや、面白かった。
ミステリー、ホラー好きとして、こういうトリッキーな映画は嫌いじゃない。
でもあまりにネタバレネタバレ言われるものだから、視点人物を気にしながら作中作を見ているうちに展開の検討がついてしまったのは残念でしたが。


ただ二回観たいか?と言われると微妙。
サマータイムマシンブルースを観たくなった。
プライム枠だから観るか。。。

ラヂオの時間

ラヂオの時間