組織と正義に揺れる男たちのドラマ 映画「V.I.P. 修羅の獣たち」

韓国国家情報院と米CIAの企てにより、北から亡命させられたエリート高官の息子キム・グァンイルが連続殺人事件の有力な容疑者として浮上する。彼が犯人であることを本能的に確信した警視のチェ・イドはグァンイルを追うが、国家情報院の要員パク・ジェヒョクの保護によりグァンイルは捜査網をすり抜けていく。さらには北朝鮮・保安省所属の工作員リ・デボムまでが介入し、事態は思いもよらない方向へと進んでいく。

これは面白かった。



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ソウルで連続殺人事件が発生。

犯人は、北朝鮮から脱北した政治家の息子キム・グァンイル。
警察が逮捕しようとするが、国家情報院(公安みたいな組織?)により邪魔される。
国家情報院の陰にはアメリカCIAがいて、キム・グァンイルの知る秘密口座の情報を取引材料として自身の保護を要求する。
一方、北朝鮮から追ってきた捜査官は警察を操り、キム・グァンイルを捉え北朝鮮へと連れ帰ろうとする、

組織人としての義務と、私人としての感情で揺れる国家情報院のパク・ジェヒョク。
圧力をかけられ、思うように捜査が出来ない刑事チェ・イド
キムを追うため脱北した北朝鮮の捜査官リ・デボム。
嘲笑い、隙があれば女性を殺そうとするシリアルキラー キム・グァンイル。

韓国の警察組織がアメリカの圧力で〜というあたりも韓国映画ではよく見る光景。
これが日本だと警察のミスを隠蔽して〜みたいなものが多く、外圧で揺らぐのは見かけないのはお国柄かもしれない。
北朝鮮は政変でコロコロ変わり、韓国はアメリカに弱く、CIA捜査官は金のことしか頭にない。

どの組織も上司は唯々諾々で組織の論理になびき、だが現場は自分の中の正しさとの間で煩悶する。


監督は名作「新しき世界」のパク・フンジョン
こういう男臭い物語を撮らせると実に上手い。
組織と正義に揺れる男たちのハードボイルドな物語をさらに一転二転させる脚本の巧さ。

韓流ブームの時はアイドル的にキャーキャー言われていたチャン・ドンゴン
今作では寡黙な国家情報院の捜査官を演じている。
主演した「泣く男」(2014)での殺し屋役も素晴らしかったが、今作でも渋い演技が光っている。

非常に面白かった。
パク・フンジョンが「新しき世界」でみせたのは実力だったとよく分かる佳作。
掘り出し物でした。

新しき世界(字幕版)

新しき世界(字幕版)