今月は話題の中国SF 劉慈欣「八体」が発売になるという事で、その前に同じく劉慈欣の原作を映画化した「流転の地球」を観てみた次第。
劇場スルー、DVDスルーで、NETFLIX配信のみというのもイマドキ。
あらすじはこんな感じ。
隕石を避けるべく巨大なエンジンを使い地球ごと移動させたSF映画「妖星ゴラス」と同じく、赤色巨星化した太陽から逃れるべく巨大なエンジンを使い地球を木製近くまで移動させることにした人類。
しかしある時、そのエンジンがトラブルを起こし。。。。
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中国とは世界の中心
内容自体はベタで古き良きSF映画といった感じ。
自己犠牲&自己犠牲の積み重ねで色々ツッコミどころも多いが、次の世代の、次の世代の。。。みたいなプロジェクトの壮大さや、個人の雄と人民の協力こそが国をつくうのである、といったあたりに中華思想的なものを感じた。
原作は未読。
「アルマゲドン」にしろハリウッド映画で世界を救うのはいつもアメリカだったわけですが、今作では当然のごとく中国人が救う。
面白いのが他国の扱い。
宇宙ステーションで中国の相棒はロシア人。
国際ステーションだが同時通訳装置を使い、使うのは中国語やロシア語、フランス語。
よく見るSFなら英語が共通語ですが、徹底して使われない。
地上では、オーストラリア人と中国人ハーフの青年が登場。
ステーションからの放送でもフランス語が使われたり、韓国人クルーも登場。
各国の救助隊が助けに来るシーンでも日本、ロシア、イギリス、中国 and more。
日本もちらっと登場するがアメリカと同じくほぼ要素がない。
日本語かどうかも聞き取りづらいくらいのちょこっとさ。
唯一まともに星条旗を登場させるのが、希望を失い絶望しているシーンだというのだからなんとも暗喩的。
ここまでアメリカの要素が排除されている作品も珍しいというか、ご時世というか。
備品なんかや表示には英語が使われてたりするんですがね。
別に英語はアメリカの専売特許ではないので。
「世界政府」みたいな設定を使いながらアメリカを排除しまくるというのはかなり面白い。
今のご時世を思いっきり反映した結果なのかもしれない。
原作ではどうなんだろう?
「三体」の次に出してくれないだろうか。
中国っぽいサイバーパンキッシュな地下街のデザインも見どころ。
こういうブロックバスターを作ってしまう現代中国の勢いを感じさせてとても面白い。
一時期ハリウッド映画に中国が出まくったのも今は昔。
これからは手前で十分なクオリティの作品を生み出してくるんでしょう。
いつかは「中国が中心になって世界を救う」系の映画も一般的になってくるかもしれない。
その時、日本はどんな風に扱われてるんだか。
「三体」まであと三日。

- 作者: 劉慈欣,立原透耶,大森望,光吉さくら,ワンチャイ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2019/07/04
- メディア: 単行本
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