女性服にポケットが少なく、男性服に多いのはなぜか?

見れば一目でわかるようなことに驚く男が本当にいるのか。
マックの女子高生並みに存在が微妙ですが、正直、男とか女とか言うより
「ポケットになんでも突っ込むようなやつがこの人の知り合い」
ってだけなんですけどね。

ただ『女性服とポケット』って観点、元ファッションクラスタとしては多少面白い。
以下、女性の服とポケットの存在についての軽い話。



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ポケットと社会進出

gigazine.net
GIGAZINEにこんな記事があった。
これは海外においての洋装の歴史ですが、男性の服にあったポケットがやがて象徴的な意味を持ち、それに対して社会へ出ていこうとする女性から

この流れの中で、女性の衣服にもポケットがつけられるようになり、同時に男性の衣服につけられるポケットの数も増えていきます。1899年には、ニューヨークタイムズが記事の中で「私たちがさらに文明化すれば、もっとポケットが必要になるでしょう」「ポケットが発明されてから、ポケットを持たない人が偉大になれたことはありません。女性がポケットを持たない限り、私たちと張り合うことはできません」とつづっているとのこと。

こういう意見が出てくる。
この辺かなり面白い。
ポケット=社会進出などと捉えればポケットの数にこだわるのも理解できる。

最初、実用性やあるいは意匠であったものが意味を持ち、象徴や記号として扱われる。
たかがポケット、されどポケット。

ケとハレと洋装と和装

さて、元々、日本はご存知の通り和装。
そこに文明開花と共に海外に追いつけ追い越せで洋装が入ってくる。
散切頭を叩いてみれば文明開化の音がする。
マゲも切って洋装に。

最初はハレ(特別な時、冠婚葬祭やイベント)に洋装が使われるようになったらしい。
ケ(日常)はまだ和装。
仕事用に洋装をして、家に帰りリラックスする時は和装に着替える。
確かにおじいちゃんなんかはこういうイメージかもしれない。

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サザエさんでも波平さんを見ると仕事はスーツ、家では着物。
マスオさんの世代は和装をしない。

女性はまだ社会進出していない時代。
なのでフネさんは洋装になってない。
サザエさんの世代は洋装なんですけどね。


都会に出て新しく家庭を作る世代は洋装になり、田舎の両親は和装という過渡期。
そして時代が経ち、女性の社会進出と同時に日常着も洋装化が進んでいく。
高度経済成長の時代。
面倒な和装が徐々に廃れ、ハンドメイドの高級品に、洋装は価格を下げ日常着になっていく。
かくて和装と洋装のケとハレが入れ替わった。

男の服とポケット

男の服は確かにポケットが多い。

例えばスーツ姿だとポケットが意匠でもあるジャケットには必須。
ただ実際スーツのポケットに物を突っ込むのはよろしくない。
型が崩れる。
見栄えが悪い。
あんなものは飾りです、ガサツなサラリーマンにはそれがわからんのです。

内ポケットに薄い財布がせいぜい。
スマホなんて入れるように元々できてないんです。
マスターキートンに登場する平賀=キートン・太一は、性格的に身につけるものに関して細かいことを気にしない性格だからポケットになんでも突っ込む。
だからスーツもヨレヨレになる。
吊るしのスーツなんて安いし、安い物を選ぶ人は崩れること自体気にしないんでしょうが、だからってポケットに物入れてりゃ崩れるのは必至。

他に普段着で言うなら男性が着ているものってミリタリーや作業着がルーツにあるものが多い。
MA-1 然り、モッズコート然り、トレンチコート然り。
作業着ならオーバーオールやらデニムやら。

基本スーツ、その上にコートやジャケット。
男の服ってバリエーションなくてつまらんのですけどね。

ルーツを考えれば実用性本位のものが多いですから、当然どれもポケットが多い。
軍や作業着で見栄えにこだわる理由はないですからね。
だからブランドが出してるジャケットなんかは装飾としてのポケットも多い。
でも男だってタキシードのポケットにパツパツに物を入れたりしませんから、その辺に性差はない。

MODE

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モード、リュクスであればあるほど機能性には欠けるがシルエットやデザインに重きが置かれる。
極限がオートクチュール(高級注文服)。

女性のワンピースなんかはやはりドレスを簡略化したものですから、そこにポケットをつける理由がない。

ポケットをつける、ディテールをつけると言うことはそこに荷重が加わるわけです。
でも例えばワンピースのような形状の服なら一枚で繋がってる以上、ポケットに全体のシルエットが引っ張られることになる。
ジャケットみたいに芯地がある服ならまだいいですが、一枚布の服にポケットつければズレるのは当然。
だったらウエストポーチでも使ってるのが無難。

スカートも同じ理由ですが、最近は手を突っ込めるようなポケット付きのスカートもあったり。
コレクションではモデルさんが手を突っ込んでランウェイを闊歩してますけど、そこに荷物入れりゃ重力に引っぱられたり、フラフラ揺れて鬱陶しそうですがね。

ドレスなどの機能性がない(劣る)服というのは「機能性がない」「代わりに繊細なシルエットなどに美しさがある」ことが機能なのだけれど、機能性が必要で、ハレが少ない現代日本の生活でその存在の必要性が確実に減ってる。
日本にはパーティ文化みたいなものが根付かなかったことがその要因なんでしょうが。
ホームパーティーではそこまで気取る必要もないですし、成人式みたいなイベントの場合、和装になりますし、それも今やレンタルで済ませてしまう。

FuKoo

男性ウケとかインスタ映えとか、そういうのは知りませんが、#KuTooじゃなくても#FuKooとして男装しても全然OKだと思いますがね。
ポケットがないわー、でもポケットある服は可愛くないからー、って知らんがな。
女性がポケット欲しけりゃMA-1やトレンチコート着ればいいのでは?
バチくそちっさいハンドバッグやめて、実用性本位のバッグ持てばいい。
選択の自由があるんですから。

でかいバッグが嫌なら

japanese.engadget.com

最近で言えばこんなのもあった。
これならコートの下に着て仕舞えば荷物があるようにも見えない。両手も自由。
女性の服ってのはルーツ的にシルエット重視なんですよ。
フワフワしてたり、締るところは締まってたり。

それに胸がでっぱってたり、お尻が膨らんでたりする。
体型が柔らかく曲線ですからそこに実用的なポケットをつけづらい。
ポケットってのは極力フラットな部分につけるべきですからね。

デニムだってシルエットのあるストレッチの入ったデニムの尻ポケットにスマフォ突っ込むからなんかおかしな感じなので、ストレッチのないストレートのデニムにすれば解決するのに「可愛くない」とか言われると、いや、もう。
だから、もうワークマンプラスにすりゃあいいじゃないですか。
実用性本位だし、ポケットもついてる。

store.workman.co.jp

ポケット6つですよ。
これで足りないならウエストポーチしかないですが、大概足りるでしょ。
可愛いかどうかは知らん。

実用性

実用性ってのはケですからハレ(可愛らしさ、美しさ)とは両立しづらい要素。
ポケットが少ないと嘆くならワークマンプラスやメンズライクな格好しか今のところないし、もしメンズライクという部分に引っかかるのであればポケットをつけて型崩れしないワンピースなりを開発するしかないんじゃないですかね。
上下セパレートにするとか、芯地入れるとか、カッティング工夫すればなんとかなりそうな気もしますが。

まぁ、どっちにしろポケットに物突っ込みまくってる太一平賀キートンみたいなのはダサいとだけは言っておきたい。

あ、はぁ。
スーツに電池?
いや、もう、「スーツは道具(消耗品)」って意味をここまで履き違えられると、言うこと無いです*1

ちなみに男性服に興味のある方には「メンズウェア100年史」がオススメの一冊(少々高いですが)。

*1:スーツは普通に着ていても擦れるし数年で型が崩れてくるので道具や消耗品と言われているのであって、まるで作業着のように捉えられてもそれは本来の含意とは異なる