プライバシーは守られて当然のわけがない

TLを眺めていたら「プライバシーなんてクソ食らえ」などと若いポエミーな人がつぶやいていた。
どうやら中国の顔認証なんかの話題を見たらしく「だから日本は遅れてるんだ云々」に繋げたかったらしい。

隣の芝生は青く見える。
でもその青さは果たして何に支えられてるのか、をまずは考えるべきなのでは?



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プライバシーなんて必要ない

プライバシーと言えば先日、NHKで放送されたファーウェイの特集を見ていたら中国人男性が「プライバシーなんて必要ありませんよ」などと宣っていた。

利便性>プライバシー

そりゃあ中国はフットワークが軽い。
中共による事実上の一党独裁の政権なんだから。
何事も中共の意思に沿うのであればそれは進み、沿わなければ弾圧される。
全ては中国共産党の為に。


一方、民主主義ってのはめんどくさい。
わざわざ国民が毎々毎回金をかけて選挙を行って、投票して代表を決めて。
代表が出たらまた国会運営なんてものが始まって、与党と野党が答弁だのやり合い、ようやく予算だの政策だのが決まっていく。

でもそんなめんどくさい行程でも、民主主義を維持するためには仕方ない。
もし投票もせず、国政も気にせず、国会運営に誰も興味を持たなくなったら為政者が勝手に権力を使いまくる。
だから民主主義はメディアなどによる監視もセットなんですけどね。
今のメディアも政権も...はぁ。

警察国家

ただ今のこの日本において
「プライバシーなんていらない」
とか
「プライバシーなんて時代遅れ」
なんて言えるのも、ある種平和だからではある。

人権は守られて当たり前のもの。
空気や水、電気と同じ。
最低限、何処にでもあり、ありふれているあって当たり前の存在。

プライバシーもどこまで公開できるか自分で決めることができる。
それだってプライバシーが守られてることが前提だからこそコントロールできるんですが。


国によって堂々と人権侵害されることはまずない(一切ないとはいわない)。
少なくとも人権は保障されてる(完全にされてるとはいわない)。
政権の悪口をツイートしたら、ある日、秘密警察がやってきてどこかの施設に監禁、拷問されたなんて警察国家みたいな事件は今のところ(表面上)ない。

これが権力による人権侵害上等で、もし反発すれば弾圧、投獄されるような世の中なら皆自分のプライバシーや人権のために戦う人も多いでしょう。
大事なものは無くして初めてわかる。

自分のプライバシーは自分で決めることはできない。行動は常に監視され、趣味嗜好からあらゆる全てを誰かにコントロールされる世界。
そんな世界で「プライバシーなんて時代遅れ」とか言えるならもう...

と思ってそんな発言してるツイート貼ろうとしたら鍵かけてた(汗
鍵って「時代遅れのプライバシー」をコントロールする機能ですけどね...。
 
 

「悪いこと」の定義

「悪いことなんてしないからプライバシー保護なんて関係ない」
という人にとって「悪いこと」とはなんだろうか?

犯罪しか頭にないからそういうことを言うのだろうし、「悪いこと」は為政者の手によってどうとでもなる。
許可なく集合してはいけない。
ネットに政権の悪口を書いてはいけない。
選挙演説の最中にヤジを飛ばし...あれ?

為政者にとっての「悪いこと」を設定して市民を弾圧する例なんて枚挙にいとまがない。
何が良くて何が悪いか。
それを決める決定権を権力と呼ぶ以上、為政者を頭から完全に信頼するのは愚かなことでしかない。


権力が一般人の人権などの権利を軽視すればどうなるのか。
香港の惨状を見ればわかるはずなんですがね。
中共に逆らうから弾圧を受ける。
アレを見てプライバシーなんていらないとか、どの視座で言ってるんだか。
自分から人権放棄するなら地下の強制労働施設でチンチロリンでもすればいいじゃない。

愚民

香港雨傘運動と市民的不服従 「一国二制度」のゆくえ
現代の日本人の多くは、権力を信用しすぎるというか、とりあえず半径数メートルの生活がそれっぽく安穏と成立していればそれで納得。
悪い意味で信頼しすぎているんでしょう。

そりゃあポルポトみたいにマオイズム振りかぶって人権を焼き尽くすような為政者が現れれば権力への抵抗運動も大きくなるんでしょうが、身内になーなーばかりのお手盛り政権ってのは腐っていても日常に影響が出づらい。
だから国民を無視している政権であることが露骨に出た事件でも「たかが桜を見る会で何をそんなに目くじら立ててるの?暇なの?」「もっと報道することがあるだろ!」なんて輩がウヨウヨわいてしまう。
形式上の民主主義国家に住んでるのに政権の腐敗以上に報道する価値のあるニュースってなんなんですかね。

もちろん今のネット世界において多少のプライバシーは公開しなければ自由に使えない側面もある。だがそれらの情報は、個人が自らの意思により自由にコントロールできるべきもののはずで、誰かに勝手に使われたり、隠したいものまで詮索されたりするべきものではない。
まるっと投げたい人は自分のコントロール下で勝手にそうすればいいが、少なくとも自分はどこかの他人にも、現政権にも、未来の政権にも自分のプライバシーを丸投げする気はさらさらない。

プライバシーや自由や人権みたいなものはあって当然ではない。
与えられるものではなくて守るべきもの。
勝ち取るべきもののはずなんだが、この日本の停滞する現状をさんざ過ごした結果、狭窄視野満載の御都合リバタリアニズムに毒されてしまうというのは皮肉というか、緩慢な愚民化政策の成功とでもいうか。


そういう感覚が薄れてるのが根本的な問題。
もはや馬鹿馬鹿しいので、シオラン読んで現実逃避します。