単なるB級ホラーと呼ぶには勿体ないタイムループ映画「ハッピー・デス・デイ」「ハッピー・デス・デイ2U」

コロナも気にせずマスクがっつりしてTOHOシネマ新宿で観たアリ・アスター「ミッドサマー 」がなんとも消化不良だったせいかホラー欲が高まり、いかにもB級な「ハッピー・デス・デイ」を借りてみたら予想を超えて面白く、その続編「ハッピー・デス・デイ2U」まで観てしまった。
ちょうど二本で完結の構造。
プロデューサーが「アス」「ゲットアウト」のジェイソン・ブラムだと聞くと観たくなる人もいるかもしれない。

一応、今作はスラッシャー映画(連続殺人犯が襲いかかってくるようなジャンル。「スクリーム」とか「ラストサマー」とか)と位置付けられているが、内容的にはSFだったり人間の成長物語だったり。


ホラー映画と呼ぶには少なすぎる血糊、残酷描写。
なので苦手な人でも全然観れる内容になってる。

ただ、この↓↓↓パッケージだとそういう人が観ない...勿体ないなぁ。

わっと驚かす系のドッキリ描写がほとんど。
コメディ要素もかなり強い。
グチャドロもないし、正直ホラーを期待してしまうと色々物足りないんですけどね。
ループ作品としては、かなりよくできてるし、他の要素がかなり面白い。

以下、二作続けて。



【スポンサーリンク】



ハッピー・デス・デイ

イケてる女子大生ツリーは、誕生日の朝、イケてない大学生カーターのベッドで目を覚ます。
その日の夜、夜道を歩くツリーはマスクを被った男に襲われナイフで胸を刺された。
意識をなくしたツリーが気づくとそこはイケてない大学生カーターのベッド。
ツリーは何度も殺され、その度にカーターのベッドで目を覚ますが....。


といった感じで、
ベッドで起きる→殺される→ベッドで起きる→殺される→ベッドで〜
というループもの。
誕生日を殺され繰り返し続ける、のでハッピー・デス・デイ(安直)。
ちなみに邦題ではなく元々のオリジナルタイトル。

どちらかというとスラッシャー要素が強めの一作目。
ひたすら殺され逃げるためにいろいろな手段を講じるがどうしても死んでしまいループに戻される前半。
犯人を探しループから抜けるために逆襲を仕掛ける後半。
このカラーの違いが、なかなか面白い。

スクールカーストの上位でイケててチャラくて遊びまくってて性格の悪いツリーが、何度も何度も殺される状況に絶望する前半。
もう尽く死ぬ。
立ち向かっても、引きこもっても、車で逃げようとしても死ぬ。
この辺、ファイナルデッドコースターみたいに執拗に死が追いかけてくる不可避の死。

そしてイケてない...という割に二枚目俳優のカーターのアイデアによって犯人を見つけようと努力する後半。
遊びまわって、様々な人を傷つけていた結果、容疑者がわんさかいることに気づいて会心し、そこで人間的成長を遂げる。
母親の死から目を背けていた自分と向き合い、新しい明日へ進むためにブレイクスルーするという意味で同じ日を繰り返し続けるというのが暗喩なのかもしれない。
映画の始まりと終わりでツリーの人格がころっと変わるボーイ・ミーツ・ガールな成長物語。

少し残念なのがミステリーとしての要素。
何せ心当たりを調べ、殺され、リセットされることで容疑者が絞られていくという総当たりの解決法。
なのでほぼ推理はしてない。
殺される前に自殺までするのは、流石に勿体ない気もしますが。

ただ真犯人パートが「あぁ、なるほど」って感じで、某ループ系ミステリのネタと同じだったのもこの手のアルアルだからかもしれない。


※以下、多少のネタバレありです

ハッピー・デス・デイ 2U

そして続編「ハッピー・デス・デイ2U」
今度は、ダニーの友だちライアンがループにはまり込む。
ループをさんざ経験したツリーはダニーと共にライアンを救おうとする...。

「ハッピーデスデイ2U」は原因編というか、もう犯人当てスラッシャーミステリーからタイムループを抜けるためのSFへと変貌。
イムループの原因を突き止め、ループを止めるべくツリーがまた死にまくる。

今作でのポイントは、ツリーと母親との関係。
ツリーは母親が死んだために、その死と向き合いたくないため父親と疎遠になっていた。
それを一作目のタイムループによって克服し、父親とも向き合うようになれた。

しかし、またもやツリーは周回に嵌まり込む。
しかも今度は母親のいない人生に再び向き合わされてしまうツリー。

パラレルワールドというのがポイントですよね。
もし自分が望むような人生があるとしたら、果たしてどちらを選ぶか。
そして自分を恨んでいた1作目の犯人とも出会い、きちんと向き合う。

自分の(欠落した)元の人生を選ぶのか、それとも別の人生を選ぶのか。


こういうあたりが、単なるホラーと呼ぶには勿体ないところ。
愛と感動みたいにしてしまうのもしょーもないですが、こうやってホラーにちゃんと深みを入れ込んでるのはとても素晴らしい。
きちんとバック・トゥ・ザ・フューチャー的な展開をさせるべくちゃんとアクションもある。

ただ一作目と同じく、ミステリ要素が弱いのは難点。
主人公、遊び歩いてる割にループを繰り返して賢くなってますけどね。
だから最後の犯人もあっさり当てたのかもしれない。
反復学習ってすごい。


最近観た中ではかなりのおすすめ作品なんですが、この記事自体読まれないだろうってのが実に残念。
よく見かける「おもしろい映画」まとめには入らないんですよ、こういうの。
そういう記事を書く自称「映画好き」って、大概こういう作品は見ないし書かないですからね。

B級ホラーって記事ウケが悪いし、拡散もされづらい。
アクセス数が稼げないですから。

でも掘り出し物作品って、こういう感じで埋もれてるんですけどねー。