心霊現象の原因を探るフィールドワーク映画「残穢」


映画『残穢【ざんえ】−住んではいけない部屋−』予告編

ミステリー小説家である私(竹内結子)に、読者の女子大生・久保さん(橋本愛)から自分が住んでいる部屋で変な音がするという手紙が届く。早速二人で調べてみると、そのマンションに以前住んでいた人々が自殺や心中、殺人などの事件を起こしていたことが判明。久保さんの部屋で生じる音の正体、そして一連の事件の謎について調査していくうちに、予想だにしなかった事実がわかり……。
解説・あらすじ - 残穢【ざんえ】 -住んではいけない部屋- - 作品 - Yahoo!映画

原作未読。

かなりいい感じなのにホラーとしてとても惜しい作品。
以下は、映画のみの感想。
多少、ネタバレもあるのでご注意を。



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怖さの構造

コロナ禍での引きこもり&シーズン的にもホラーを観る機会が増えていて、「ウィンチェスターハウス」「来る」「ハロウィン」などなど見た流れて見てみた今回の「残穢」。
小野不由美氏の原作は未読。

心霊系ホラーには大まかな流れがあって、大半は

導入→調査→激化→反転攻勢→解決?

こんな感じに。

1.導入で特殊な事象が発生する。
2.その原因が心霊などのため専門家(外部の人間)を呼び調査したりする。
3.しかしその事象は調査されることで激しさを増すことになる。
4.だがここで対魔のプロなどを呼びそれ自体と戦うことになる。
5.最終的に人間の側が勝つがホラーにありがちな「本当に終わったの?」的なエンディングを迎える。

例えば「来る」はこれをなぞっている。
インシディアス」「死霊館」あたりも大まかにこんな流れ。

こういう中「残穢」は1と2がひたすら続き、3で終わりを迎える。
未完というか導入が全編。
導入で終わるので解決はしない。
「来る」のように最終的に心霊アベンジャーズがやってきて強大な怨霊と対峙すべく人間が微力を尽くし多くの命を捧げようやく浄化されるようなカタルシスはなく、ひたすら過去を調べその原因を掘っていくフィールドワークが続く。
地味といえば地味なんだけど、その地味さがいい。

なんとなくおかしい、なんとなく気持ち悪い。

例えば人感センサーの照明が誰も通ってないのに突然光るとか。
日常と地続きで起きておかしくないようなレベルの現象が起きるからこそ怖さが増す。

原因を調べていくとその気持ち悪さや違和感の正体が理解できるレベルで明らかになっていく。

終わらせ方

なので、「残穢」最後のラッシュは要らないと思うんですよ。

露骨に影を出したりとか、目の前にガンガン出始めたり。
あれをやることで一気にチープになってしまう。
原稿の文字あたりまでは良かったんですけどね。
その先はやりすぎ。

ただ対抗できないのはとてもいいんですよね。
対抗手段があるということは戦えるということで、そうなると怖くない。
対抗手段が登場すれば今度はどうやって倒すかになるわけで。
意思疎通ができる、というのも怖くない。
意思疎通し、交渉できる可能性が発生してしまうと怖さが薄れる。
対抗手段がない、意思疎通できない。
だから怖い。
トビー・フーパー悪魔のいけにえ」なんてまさにそれ。
チェーンソーを持ったレザーフェースは怖いし、その家族も人間なのに意思疎通できないから怖い。
何を考えてるかわからないがともかく殺そうとしてくる。

一番は、見えすぎない、対抗できない、意思疎通もできない。
海外のホラーは結構露骨に姿を出すので音でワッと驚かせる系が多い。
「ウィンチェスターハウス」なんてそればかりで驚かせようとするので途中で怖さが薄れていくし、対抗手段もあるので最終的にバトルになる構図。

ホラーというか、謎解きバトルですから。


残穢」の場合、終わらせ方は途中で良かったと思うんですよ。
原因を見せない方が良かった。
例えば、

電話がかかってくる、竹内結子が電話の前に立つ、表示が見える、受話器を取る。
一瞬、受話器から相手の声が聞こえ、、エンドロール。

みたいな。
ラッシュラッシュラッシュってして最後にアレで終わらせるってのはなんかもったいないというか。
最後、見えすぎなんですよね。
で、見えすぎたからビジュアルに頼った怖さが弱い。

アレって「あなたにも起こるかもしれない」的なことを伝えたいはずで。
だから露骨に霊を出しちゃうと嘘っぽさが増しちゃうんですよ。

何か音がする、とか何か電話がかかってくる、とかなら全然あり得るからこそ怖いわけで。
めちゃめちゃ鈍感な主婦連中のカットなんていいんですけどね。
アナタは気づいていなくても実は、、、の方がよほど怖さがある。

例えば部屋に関係した関係者が次々死に、出版社も火事になったりして。
ひたすらそれを伝える新聞記事とか訃報だけを並べるとか。
ナレーションもなしでそのままエンドロールに突入したら気持ち悪い。
地味に終わらせて欲しかった。
実に惜しい。

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