大量死の中の殺人事件 映画「将軍たちの夜」


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Amazonプライムで鑑賞。

1942年。
二次大戦中のワルシャワ
ある夜、ホテルで娼婦が惨殺される事件が発生。
捜査を担当することになった情報部グラウ少佐は「犯人はドイツ軍の制服、それも将軍の制服を着ていた」と証言を得る。
ワルシャワにいるのは三人の将軍。
第七軍団長ガーブラー将軍、参謀長カーレンベルク少将、ニーベルンゲン師団長タンツ中将。
三人の将軍は共に当時のアリバイがなかった。
グラウ少佐は三人の将軍の誰かが犯人で間違いないと考え、捜査を開始するのだが....。

以前観たことはあるんですが、犯人などまったく覚えていないので推理しつつ鑑賞。
1962年の映画ですのでネタバレ云々もないとは思いますが一応気にしつつ。

まずメンツからしピーター・オトゥール演じるタンツがめちゃくちゃ怪しい(角川ミステリ映画的なキャスティングからの犯人逆予想)。
行動も不信感ありあり。
映画「007は二度死ぬ」など悪役で有名なドナルド・プレザンス演じるカーレンベルグ将軍も明らかに隠し事がある。

中盤からは、そんな三人の将軍の関係性や、隠された事実、大戦下ならではの展開が待ち受けていて、正直ミステリとしてはいまひとつなんですが(証拠を突き詰めて、論理的に犯人を絞っていくタイプの作品ではないので)見どころはピーター・オトゥール演じるタンツ将軍のサイコ演技で、いや、モロにサイ◯パスですやん、これは。
とはいえ、そういう人ですら戦争中は英雄になれるというのが狂った話なんですが。

オマー・シャリフ演じる情報部のグラウ少佐は将軍らを追い詰めていくんですが、グラヴ少佐だけが大量死の中の個人の死という殺人事件のパラダイムの中で行動していて、他の将軍やその部下は全員が戦争というパラダイムの中にいるんですよね。

毎日、無数の人が死ぬ中で、殺された娼婦の事件に注目し正義を行おうとするグラヴ少佐というキャラクターは軍服を着てはいるものの戦争をしていない。
そして真犯人もまた戦争というパラダイムにいるように見せかけ、実は殺人事件というパラダイムに存在している。
いや、犯人の中では殺人という価値観だけで一貫していて、単に自分の手を汚すかそれとも人の手を汚すかの差なのかもしれない。

そして真犯人を追い詰めるグラウ少佐と犯人の一騎討ちでは、潮目が急に変わるんですよね。
もしあの事件が成功していれば、あるいは犯人もここで...という歴史の IFがそこにある。

そして最後のあれはもうヒトラーの最後とを付合させるためにあぁいう展開にしたんでしょう。


さすが演技派ぞろい。
渋いですが面白かった。
今だとまだアマゾンプライムで観られるのでご興味のある方は是非どうぞ(近々、プライム枠から外れるそうなので)。